ニュース: 文化 RSS feed
【正論】論語熱は「ブーム」にあらず 大阪大学名誉教授・加地伸行 (3/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
第四点。道徳に対する古田氏の定型的理解について以下二つの疑問がある。
その一。かつて聖王の時代があり人々は道徳的であったという伝説のフィクションを除き、人間史上、完全に道徳的であった地域や時代などどこにもなかったのである。だからこそ、心ある人が人々に対して道徳的であれと教えたのである。その代表が例えば孔子でありキリストであった。現代中国に限らず、全中国史ひいては全日本史も大半の人々の非道徳の歴史であり、少数の人たちが道徳的であれと説き続けたのだ。
その二。道徳は〈葵の印籠〉ではない。個々人の絶えざる努力という主体的実践によってのみ実現される。
必要なことは、絶えざる道徳教育とそれを受けての主体的実践であり、それはその国家(政府・国民)の力量の問題。現代中国の非道徳性は国家の能力の低さを示す。
それを他山の石とせよ。わが国の中央教育審議会の山崎正和会長は、道徳教育は不必要と称している。現代中国の非道徳性をわれわれは嗤(わら)えるのであろうか。(かじ のぶゆき)

