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【正論】文化庁の映画助成 私の作品が落とされた理由は 精神科医、国際医療福祉大学教授・和田秀樹 (1/3ページ)
私が初めて監督を手がけた映画作品『受験のシンデレラ』が3月29日から公開されている。映画は、評論家より観客が評価を下すものと考えているから、自分自身の作品そのものが「受験」をしているような気分である。
ただ、事前の評価のシステムがないわけではない。その一つに、文化庁による映画助成がある。
実際は文化庁ではなく、独立行政法人「日本芸術文化振興会」の基金から、「わが国の映画芸術の水準向上の直接的な牽引(けんいん)力となることが期待される意欲的な企画作品」を支援するものである。ただ、この基金653億円のうち541億円は政府出資であり、ここからお金をもらった映画は、ポスターや映画のクレジットで文化庁のマークをいれることになっているから、実質的に文化庁による映画支援とされている。
そして、適正な助成のために、「芸術文化に関し広くかつ高い見識を有する委員」が審査を行うとされている。
たとえば、2007年度の第2回募集分については、劇映画の応募は38件、採択は15件とのことで、3倍弱の競争率である。この競争率をみる限り、ある程度の水準の映画であれば、助成を受けられるようだし、受けられないと3段階の並か下という評価になることを意味する。
経済的にも苦しい映画製作者にとって、これで落とされることは相当なダメージになるはずだ。ある程度の妥協をしても、採択されやすい傾向の映画を作るインセンティブになるだろう。それが、本当に「映画芸術の水準向上」につながるのなら、国の金を使う価値は十分にある。
恣意的「支援」のにおい
たとえば暴力シーンのない映画や、国民に啓蒙(けいもう)すべき内容を盛り込む、コマーシャリズムに流れない芸術映画を助成するなどである。逆に、自虐史観や反日的内容の映画を助成するなら、その手の映画を作るインセンティブとなってしまう可能性もある。

