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【産経抄】2月16日
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司馬遼太郎さんをしのぶ「菜の花忌」シンポジウムの今年のテーマは「街道をゆく」だった。言うまでもなく、司馬さんが各地を訪ねたシリーズのタイトルである。単なる紀行文ではなく、地方の歴史に光を当て、甦(よみがえ)らせるところに味わいがあった。
▼例えば「肥薩のみち」では、鹿児島のある町に「サムライ会社」とも言える結社が残り「士族」の伝統が今も生きていることを発見する。そして関ケ原の合戦などでこの町の衆が果たした役割まで語っていく。地元の人たちも知らなかったり忘れたりしていた話である。
▼歴史を学ぶことを、むつかしく考えることはない。「わが町」や「わが国」のご先祖たちと出会い、彼らが何を思い、どう生きたかをたどっていけばいい。「街道をゆく」の読者のように、そこから生きていく勇気だの糧だのを得ていくことが大切なのだ。
▼ところが今、多くの高校生がこの「わが町」や「わが国」の歴史を学んでいないという。世界史が必修科目となっているのに対し日本史はそうなっていないためだ。歴史に感動することがなく、人の心の豊かさに触れないまま、社会に出ていっていることになる。
▼これに対し神奈川県教委が全国に先がけ、県立高校で日本史や郷土史などを必修科目にすることを決めた。松沢成文知事はその理由を「愛国心や郷土愛がはぐくまれると思う」と述べている。まさに正鵠(せいこく)を射ているのだが少々というか、かなり気になることもある。
▼歴史の「影」の部分だけを取り出し、あえて日本の歴史をおとしめようとする教育がいまだに横行している。そんな教材も後を絶たない。せっかく日本史を必修化しても「日本嫌い」の若者を増やせば、元も子もない。そのことも肝に銘じたい。