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【パーティー鑑賞】宮部みゆき「親はいまだに『本は出るのか』と心配」 (2/3ページ)
実際に私たちもそのような迷路に入り込むことがあるんですけど、私自身ずっと仕事を続けてきて思うのは、やっぱり目に見えないものをあまり大きく考えるのは間違いじゃないかと。いま、海の向こうで住宅ローンのサブプライムローンの問題がでてくると、なぜか日本で物価がいろいろあがったりするというふうに、複雑にからみあった社会の中で、いろんなものが目に見えたり見えなかったりするから、目に見えないものの方が貴重なんじゃないかとか、実はそれがすごく大きな力で世の中とか人を動かしているんじゃないかとか考えてしまいがちなんですけど、それはちょっと違うんじゃないか、と。目に見えて、自分の手で作ったり、あるいは直したりできることの方を大事に考えていかなければいけないのでは、と思うことが多くて。
受賞作の『月のころはさらなり』という作品は、まさにそのことを書いているんですね。人為的に作られた異界、村落共同体がしっかり機能していくために人為的に作られた異界と、そこで内側に抱えながら生きていく人たちの日常生活がどのように行われていくか。で、時代がたって現代になるにつれ、21世紀になってその異界が役割を果たし終えたかのように見えるんだけど、異界というのは目に見えない力をつかさどるところなので。でも目に見えない力は大変大きいんだけども、それをコントロールし、日常に回帰していくことのほうが、大事なのであって、そのためにこそ異界はあるんだということが、非常に明快で優しい日常的な文章でつづられていました。そうでありながら、起こる現象について大変ビビッドな映像的な描写がばっばっと出てきて、そこもすごく感動しました。

