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【人、瞬間(ひととき)】作家・宮本輝さん(60)(下)砂漠で眺めた天山山脈 (2/2ページ)
羅什の故郷・クチャ周辺にあるキジル千仏洞を目指し、荒涼とした砂漠の地を車で踏み進んでいたときのこと。眼前に広がる緑の谷に白い物体がゴソゴソと動き出した。目をこらすとそれは羊の群れだった。遙かかなたには、数千キロに渡って連なる天山山脈の威容が目に飛び込んできた。
「その瞬間、空がパァーっと晴れ渡ったんです。雪を頂いた天山山脈がくっきりと鮮やかに映し出されて、思わず涙が出ました。後にも先にも、あんな息をのむ光景は初めて。若いころの夢、挫折、作家への方向転換…。あらゆる思いが頭を巡りましたね」
目標とする羅什を身近に感じたシルクロードの旅を経て、宮本はますます盛んな創作を続ける。「これから85歳までに100編の長編小説を書き上げたい」。
=敬称略
(文 横山由紀子)

