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【断 呉智英】朝日総研のトンデモ分析
このニュースのトピックス:論争「朝日vs産経」
朝日新聞社系の朝日総研リポート「AIR21」の一月号が「ジャーナリストとは」を特集している。その中にこんなアンケート報告がある。
新聞社六社の研修中の新人記者を対象に調査を実施した。回答者の中には、ジャーナリズム・ジャーナリストという言葉に「好感を抱かない記者たちが複数いた」。次のようにその言葉のイデオロギー性を嫌悪する者が二人もいた。
・「どこかイデオロギー的なイメージがある」
・「ism主義〔というそ〕の時点でイデオロギーを感じる」
いやはや。苦笑しながら読み進んだ私は次いで唖然(あぜん)とした。回答者がイデオロギーだと感じる根拠を、それが外来語だからとか、職業の特権性が感じられるからとか、見当違いのトンデモ分析をしているのだ。
私が苦笑したのは、回答者の新聞記者たちが今時の学生のようなバカな誤読をしていたからだ。学生たちと話しているとよくわかる。彼らの大半が「ジャーナリズム」を「ジャーナル主義」だと思っているのだ。
「ジャーナル」は日報・日誌、転じて新聞や雑誌など定期刊行物。現代ならテレビなども含む。ここまでは学生も間違えない。問題は「イズム」だ。これには、主義、思想、作用、状態、症状など、広い意味がある。alcoholismをアルコール主義と訳したら駄目だぞ、アルコール依存症、アルコール中毒だ、と私は講義でいつも強調している。それと同じ誤読をしている新聞記者もひどいが、誤読の上におかしな分析を得意げにしている報告者もひどい。
報告者は東大大学院准教授で情報学を専攻する林香里と同院の共同研究者である。ジャーナリズムもアカデミズムも「中毒」と訳したほうがいいんじゃないかな。(評論家)