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【試行私考 日本人解剖】第3章 ルーツ 縄文人のかたち(4) (1/4ページ)
■「早くから北の影響」歯に痕跡
2つのタイプ
縄文人について、かつて東南アジア起源説が有力だったことは前回触れた。彫りの深い顔立ちが現代の東南アジア島嶼(とうしょ)部の人々と似ているからだが、さらに大きな根拠とされてきたのが歯の形だ。骨と比べて歯の形質は環境変化に左右されにくく、遺伝的影響を強く受けている。その上、歯は体で最も硬い組織のため土中でも残りやすく、人類のルーツを探るためには有効な資料なのだ。
1989年、クリスティ・ターナー米アリゾナ州立大教授(当時)は「アジア人は歯のタイプにより、大きく2つのグループに分けられる」とする説を発表した。1つは日本人や中国人など北東アジア人で、上顎(じょうがく)切歯(上あごの前歯)の内側がシャベル状にくぼむなど大きく複雑な形の歯をもつ。このような歯は起源が中国大陸北部と推定されるため「シノドント」と呼ばれる。アメリカ大陸先住民もシノドントで、彼らの祖先が北東アジアからベーリング海峡を渡ってきたことを裏付けている。
もう1つのグループは東南アジアの人々で、切歯のシャベル状形成が弱く、臼歯(奥歯)なども小さく単純な形をしている。インドネシアなどの島々は数万年前の氷河期に海面が下がり「スンダランド」という亜大陸となっていたことから、この歯の型は「スンダドント」と呼ばれる。
ターナー教授は「現代の日本人は多くがシノドントなのに対し、縄文人やアイヌはスンダドントの割合が高い。縄文人の祖先は、東南アジアから日本にやってきた」と結論。シノドントについて「北上したスンダドントのうち、内陸部を経由した集団が中国大陸で突然変異して発生した。彼らがやがて日本に渡来し、弥生人となった」と推測した。




