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精神的伝統救い出す 「保守思想」は戦う態度 正論大賞の佐伯啓思京大教授 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:第23回正論大賞
この度、第23回正論大賞を受賞することとなりました。正論大賞は、すでに言論活動において一国一城を築いた大家に与えられるものだと思っていましたので、全く予想外の事態に驚き、とまどっています。それでも、私のごとき一介の大学人が、無謀にも無手勝流の社会評論を続けてきたことが評価されたことは大変ありがたいことです。
もともと私は経済学の研究からはじめたのですが、過度な形式主義と過剰な専門主義が肌に合わず、大学院の後半からは、もともと関心のあった思想へと興味が変わってゆきました。思想とは、政治・経済・社会を対象としつつ、その基礎にものを見、考えるための足場を作るものです。最初に書いた「隠された思考」という本は、経済学批判の思想を展開した書物で、幸いにサントリー学芸賞をいただきました。1980年代半ば、ポストモダン文化とバブル経済が一気に花開く時期でした。
80年代のポストモダン文化とバブル経済は、私のような社会思想をやっているものにとっては、現前の社会そのものが思想の対象となるのです。この虚栄と虚飾に満ちた繁栄と、それに比例する精神的な空洞化は何に由来するのか、ということがその後の私の最大の関心になってゆきます。
私は、ほとんど学者や研究者とのつきあいはありませんが、この精神の空洞化というニヒリズムに対抗するには「保守」の思想しかない、ということを教えられたのは、院生時代にめぐりあった西部邁氏の生き方や評論活動でした。氏のおかげで、「保守思想」という武器を携えて、荒野のような現代社会へ向けた思想的批判を行うという蛮勇を与えられたといってよいでしょう。

