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【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(8)鉄腕アトムの時代になった (2/2ページ)
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■介護に省エネに広がる可能性
自分の思い通りにロボットを操作する。必要な情報を提供し、困難な仕事を片付け、話し相手にもなってくれる。
鉄腕アトムを夢のシンボルに続けられている日本の人型ロボット研究はこれまで、世界からは「なぜ経済的に非効率なものをつくるのか」と冷ややかにみられてきた。
ところが、21世紀に入って二足歩行など人型ロボットの困難だった技術が確立され、人間と安全に共同作業できる可能性がみえはじめると事情は変わる。実用化に向けて経済産業省などの国家プロジェクトが組まれた。
人間の能力を上回る単体のロボットは現段階ではできないため、当初、用途はエンタテインメントなどに限られるかにみえた。
しかし、携帯電話やインターネットなどと連動した形のなじみやすい情報端末は、高度な情報環境を実現するユビキタス社会に役立ち、介護など高齢社会を支えるロボットも必要と用途が開けてきた。単独で判断して行動する能力は、すでに掃除ロボットなどに生かされている。
最先端研究では、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のほか、筑波大学の山海嘉之教授のグループのロボットスーツ「HAL」が海外から注目されている。人体に装着するタイプで皮膚から生体の信号を検出し、意思を読み取って筋肉のサポートをする。
体の不自由な人を抱えあげたり、リハビリに使ったりの用途が考えられる。
ロボットの基本的な技術の3要素は、全体の機能をコントロールする脳(人工知能)、視覚など周囲の状況を察知する知覚(センサー)、手足を動かす筋肉(駆動装置)といわれる。
ただ、人と違和感がなく安全に使うには、これらの機能をコンピューター製造のようにただ組み合わせるのではなく、1ミリの狂いもなくコンパクトに納める技術が必要だ。そこは自動車産業に代表される日本のお家芸だ。世界の産業ロボット生産の過半数を占める日本の実力がいかんなく発揮される。
一方で多大な先進技術を組み込むロボット研究からは、予想外の機能を発揮する産業のシーズ(種子)を生むことにもなる。
すでに自動車や家電製品に還元され、安全性の確保や消エネなど性能の向上に貢献している。
こうしたロボット市場は産業ロボットを含め5000億円だ。それが、2025年には、産業分野が1兆4000億円、公共サービス分野が約5500億円、介護など医療福祉分野が約9300億円、家庭に入る生活関連分野が約3兆3000億円と、合計で6兆円以上の市場に拡大するとの予測がある。
経済産業省の技術ロードマップによると、2010年ごろからの普及をめざしている。家庭に入ることから、「次世代ロボット」の安全性のガイドラインもまとめている。
アトムに始まり、アトムに行き着く人型ロボットの研究開発は、日本がリーダーシップを取れるポジションにいることは確かだ。そのためには、いくつかのブレークスルー(現状打破)が必要だ。明確な理想を掲げ、ロボット工学、材料分野をはじめ、医学など関連分野が結集して開発にあたることが、それを可能にする。(坂口至徳)


