MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース:文化 皇室学術アートブックス囲碁将棋写真RSS feed

【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(8)鉄腕アトムの時代になった (1/2ページ)

2007.12.12 02:55
このニュースのトピックス第23回正論大賞
限りなく人間に近いロボットと並ぶ川人光男さん限りなく人間に近いロボットと並ぶ川人光男さん

 人の心を読むロボット開発で、世界を驚かせたのは、京都府の関西文化学術研究都市にある国際電気通信基礎技術研究所(ATR)脳情報研究所の川人(かわと)光男所長(54)らのグループだ。

 たとえば、じゃんけんで「ぐー」など頭に思い浮かべれば、内容に応じて脳内の血流や電磁場が変化する。その脳活動のパターンをfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)という診断装置や脳磁場を測るMEG(脳磁計)で外部から読み取り、解析して何を考えているかを突き止める。

 MEGを用いると、解析時間がわずか0・001秒というリアルタイムに近い速さにまで能力を高められた。

 この方法を使えば、体の不自由な人が、自在に介助役のロボットを動かせるなど幅広い用途が考えられる。

 欧米では、脳に電極を埋め込む形で研究されているが、ATRの成果は脳を傷つけないという点でも画期的だ。

 「ロボットが日本の主要な次世代産業になってほしい。そのためには脳に相当する機能の開発がもっとも重要ですが、他の部分より研究が困難であるのも現実です」と川人さんは語る。

 東大理学部で物理を学んだが、その分野では解明されていない人間の「内なる世界」に興味を持った。そこで、計算理論が生かせる脳の基礎研究のためにロボットで脳を再現するという独自の発想にたどり着いた。小脳の機能などを解明する一方で、人の行動を学習して見まねするロボットなども開発し、理論を実証してきた。

 ロボットへの思いは強い。「月に人を送ったアポロ計画のように、鉄腕アトムをつくるというすばらしい夢があれば、ロボットに熱中する研究者が増える。産業としても発展するでしょう」。そんな思いで提唱した「アトム計画」を実現すべく、川人さんらが手がける秘蔵のロボットがある。

 「CB」と呼ばれ、ひざを伸ばした二足歩行など限りなく人間に近い能力を備えている。

 「今度はバッティングをさせてみたい」。生来の野球好きで、研究所の野球チームの監督もつとめるが、そのさいもロボットの機能と関連付けて考えてしまう、と笑う。

 ロボット研究には国際性も欠かせない。グループの公用語は英語である。なにしろ、研究者15人のうち8割が欧米などから来た外国人。研究会からランチタイムまで英会話が続く。

 「日本人は毎日大変でしょうが、国際感覚や連帯感は十分に養われますよ」。川人さん自身は留学経験こそないものの、国際学会などで積極的に交流の輪を広げてきた。その秘訣(ひけつ)は「相互の信頼感」という。

 米国ロボット工学の第一人者、クリストファー・アトキソン・カーネギーメロン大学教授もその一人で、現在も共同研究を続ける。ノーベル賞元選考委員長も斬新な業績に関心を寄せ、川人さんはノーベルフォーラムで招待講演を行った。近く国際神経回路学会の最高賞であるガボール賞を受ける。

 「人型ロボットに対する世界の見方が変わり、重要視されています。これからは、脳研究の道具として利用するほか、情報通信の端末や脳で操作するロボット(BMI)としての役割がメーンになる」と明言した。

 ロボットを敵ではなく味方と考えてきた日本人のやさしさと努力が、実を結ぼうとしている。

このニュースの写真

限りなく人間に近いロボットと並ぶ川人光男さん
PR
PR
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2007 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。