MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース:文化 皇室学術アートブックス囲碁将棋写真RSS feed

【わたしの失敗】作家・桐島洋子さん(70)(3)

2007.11.22 03:52
このニュースのトピックス第23回正論大賞
アメリカ放浪から帰国し3人の子供たちと記念撮影(右から桐島、ローランド、ノエル、かれん)アメリカ放浪から帰国し3人の子供たちと記念撮影(右から桐島、ローランド、ノエル、かれん)

 ■NYのバス停で置き引き

 ベトナム戦争の従軍記者を経験し、日本に戻った桐島は第3子となる男の子を出産した。籍を入れないまま、長女かれん、二女ノエル、長男ローランドと3人の子をなした米退役軍人の彼との別れが訪れた。「女が1人で仕事して生きているといろいろもてるわけよ。彼が焼きもちを焼いて、私もだんだん煩わしくなってしまって」

 3人の子供を養育できるだけの収入の道を日本で見つけることができなかった桐島は、ベトナムで垣間見たアメリカという自由な国に活路を見いだす。「仕事のない日本で絶望してしゃがみ込んでいるより、いちかばちかアメリカに行けばなんとか道が開けるかもしれない」

 まだ手のかかる2歳のノエルは母親に、生まれたばかりのローランドは24時間保育の病院へ託し、3歳のかれんだけを伴って三十路の桐島は初めてアメリカの土を踏んだ。顔見知り程度の友人がいるだけで、頼りになるつては何もなかった。

 ニューヨークのバス停留所で、重いスーツケースを置いて雑誌を買いに走ったほんの数分後、スーツケースがなくなっていた。衣類やカメラ、本、母の思い出の指輪など、日本から持ってきた全財産が入っていた。雑誌か何かに売り込もうと持参したベトナム時代の貴重な写真も含まれていた。

 「青ざめて本当にどうなることかと思ったわ。異国の地で丸裸になっちゃったんだもの。しばらく立ちつくしたけど、ポンと突き抜けちゃって。もう失うものは何もない壮絶な爽快(そうかい)感だった」と回想する。

 身軽になった桐島は、気の向くままにさばさばと放浪を続けた。日本語教師や翻訳、ベトナム従軍時代の体験を語ったミニ講演会などで食いつなぎ、日本に残した子供の養育費を送金。ぎりぎりの生活だった。

 「広大な国だけあっていろんなモノ好きがいるものね。私みたいな3人の子供のいる大年増にも求婚者が現れたの」と語るお相手は、無類の子供好きで離婚経験のあるユダヤ系の富豪だった。日本に残していた2人の子供も呼び寄せ、このまま結婚した方がこの子たちのためかと思ったが、「この家具はいくらした」など金の話しかしない相手にうんざり。「やっぱり、考え方の違う人とは結婚できない」と富豪の下から逃走する。

 3人の子供を抱え再び独りになった桐島は、カメラを売るなどして急場をしのいだ。アメリカでのさすらいは数年にわたった。=敬称略

(横山由紀子)

このニュースの写真

アメリカ放浪から帰国し3人の子供たちと記念撮影(右から桐島、ローランド、ノエル、かれん)

関連トピックス

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2007 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。