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【出会い 輝く生命】アフリカゾウの人工保育 愛媛・とべ動物園
■愛と期待一身に 育て!230キロの赤ちゃん
ワラを敷き詰めた寝床をウロウロ歩き回る体重230キロの赤ちゃんゾウ。大好きな飼育員が近づくと甘えるように体をこすりつけ、長い鼻でシャツや無線機をつかんで遊び始める。
日本で5例目の出産となった「とべ動物園」(愛媛県砥部町)のアフリカゾウの赤ちゃん「媛」は飼育員の手で育てられている。
媛が同園で暮らす、父・アフと母・リカ(いずれも21歳)の間に生まれたのは昨年11月9日。出産当日のリカは媛を足下に引き寄せ母乳を与えるなど、ハッキリと母性を見せ、順調に子育てをするように思われた。
しかし2日目、媛を鼻でかかえて3メートルほどの高さから落とし、さらに、足で踏もうとしたため、スタッフが助けに入る事態となった。
同園でゾウの担当を20年勤める椎名修飼育員(45)は、「野生のゾウは群れで生活し、敵から子供を守ります。動物園育ちのリカは出産や育児を学習していないから、媛を『異物』として判断したのかもしれない」と推測する。
その後、赤ちゃんの命を第一に考え、椎名さんを中心とした飼育員と獣医師9人が親代わりとなり、24時間態勢で育てることとなった。
媛は体はかなり小柄で、体重は同年代の平均より2割程度軽い。スタッフがいないと寝床をウロウロ歩き回るため、1日8回で計12・8リットルの牛乳を飲み干しても体はなかなか大きくならない。
また、未成熟な足の裏や爪は歩きすぎで傷つきやすいため、スタッフ手作りのビニール製の靴を履くことや、テーピングすることも多い。一般への展示では、足に負担の少ない砂地の植え込みを改造して使うなどスタッフの苦心は絶えない。
親子は今も檻(おり)越しに離れて暮らすが、リカは、媛が熱射病で倒れたときには水を掛け元気づけようとするしぐさを見せている。媛が大人になり、ゾウ同士の付き合いを覚えれば親子一緒の姿も見られるかもしれない。
スタッフの期待と愛情を受けて育つ媛。「まずはこのまま、すくすくと育つのが一番大事ですよ」と、椎名さんは母親のような優しいまなざしで見つめた。(写真報道局 早坂洋祐)