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世界の鉄人、飽くなき探究心 ハンマー投げの室伏まもなく決勝
男子ハンマー投げで17日夜、室伏広治(33)が出場する。アテネは当初、銀だったが、金メダリストにドーピング(薬物使用)が発覚し、繰り上げで金を射止めた。アテネ後、室伏は遠心力で300〜350キロの負荷が体にかかる過酷な競技を科学的に分析し、「博士号」を取得。日々新たなトレーニングも取り入れるなど、飽くなき探求心で連覇を目指してきた。
「ハンマー頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」。この論文で今春、中京大大学院から体育学博士号を授与された。ハンマーが加速する要因を分析しようと、ハンマーに自作のセンサーをつけて速度を計測。力学的メカニズムを考察した。
競技生活と並行し、約10年間研究し続けた理論の集大成。論文で「トップの選手の完成度は高い。フォームの追求だけでは進歩が望めない。科学的分析が大切だ」と指摘した。
大学院では論文を紹介・分析する「抄読会」にも暇を惜しんで参加。内容は他種目ばかりだが、ハンマー投げへのヒントが得られるという。
指導教官だった桜井伸二中京大教授は「『それはどういうことですか』と頻繁に質問された。何にでも好奇心が強い。スポーツを一面的に見ない柔軟性がある」と話す。時には、飲食店で「たくあんが常に2つ切りで出されるのはなぜですか?」と質問、店主が回答に困ることもあった。
練習メニューは毎日違う。筋力トレーニングでは丸太を振り回したり、腰にハンマーを巻いたり、バーベルにハンマーをつけたり…。いずれも「鋭敏な感覚を磨くのが狙い」という。
研究熱心なのは、少年時代から。高校では世界記録を持つ一流選手が投げるビデオを毎日1〜2時間見続けた。
室伏の研究熱心ぶりについて、高校以来の恩師で北京にも同行した小山裕三・日本大教授は「骨董(こっとう)品の鑑定人が審美眼が鈍るのを避けるため、粗悪品を見ないのと同じ」と話している。




