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内村「銀」、10代で初のメダル 体操個人総合
「2度も落下して気分的に下がったけど、もう一度、いつも通りにと言い聞かせた…」。2種目目のあん馬。苦手種目での大失敗にめいる内村に、森泉コーチがそっと耳打ちした。
「アテネではポール・ハム(米国)が跳馬でミスをしても優勝した。あきらめるな」
コーチの言葉が気持ちを奮い立たせた。
得意の跳馬で16点台をマークすると、最終種目の鉄棒では3回の離れ業から、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りをピタリと決め、思わずガッツポーズが飛び出した。「これでメダルに届いたかな」。胸の内に歓喜とまではいかないうれしさが広がった。
体操選手だった両親が長崎県諫早市で開いたスポーツクラブで3歳のときから遊んでいたが、運動神経抜群というわけではなかった。「体育の成績は『3』だし、球技は苦手だった」。ただ、知らず知らずに鍛えられた「空間認識能力」を武器に、ひねり技と跳躍は群を抜いた。そして何よりも体操が好きだった。
中学卒業とともに単身上京し、名門・朝日生命の門をたたいた。塚原直也というトップ選手を仰ぎ見ての練習。多感な時期に自ら選んだこの体験が、北京で花を咲かせる糧となった。
10代の五輪個人総合でのメダル獲得は日本初の快挙。だが、具志堅監督は「結果は満足だが、内容には満足していない」と厳しい。2度落下しても挽回(ばんかい)できたのは新ルールならではの面があり、「4年後は金メダルを狙える選手になってほしい」という思いからだ。
もちろん自覚はある。日本体操を担う気持ちを問われ、「これからは自分が引っ張っていける存在になりたい」。19歳の瞳に意志がこもった。(金子昌世)





