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【主張】時効 撤廃も視野に深く論議を
殺人など凶悪事件に時効は必要なのか。東京都世田谷区で宮沢みきおさん一家4人が殺害された事件は、30日で発生から8年が経過した。時効まであと7年だ。
無差別に人を殺傷するなど、凶悪事件が後を絶たない中、被害者・遺族らの感情に配慮し、「時効制度」を見直すべきかどうか、広く論議する時期にきているのではないか。
時効は刑事訴訟法で、最大15年(殺人罪など)となっていたが、事件の凶悪化や平均寿命の延びなど、現在の社会情勢を考慮して、平成16年に刑訴法が改正され、翌年以降に発生した事件の時効は、10年間延長され25年となった。ただ、海外へ逃亡中などの期間は時効は停止される。
殺人などで最愛の妻や子供を亡くした遺族にとって、時効制度の存在そのものが納得できないと思うのは、当然であろう。時効後に、その事件の容疑者が現れても、刑事責任は問えないことになっているからだ。
宮沢さんの両親は、先ごろ開いた記者会見で、「犯人が生きている限り法の裁きを受けさせたい」と涙ながらに語り、殺人事件の時効制度撤廃を強く訴えた。
また、東京都葛飾区で平成8年に発生した上智大生殺害事件は、時効まで3年を切った。父親は「いてもたってもいられない気持ちだ」と現在の複雑な心境を語り、やはり制度の撤廃を強調した。宮沢さんら遺族は来年、未解決事件遺族の会を結成して時効撤廃運動を展開し、国民に理解を求めていくという。
時効は年月がたつと、証拠が散逸し、被害者感情も希薄になっていく、というのが主な理由とされている。しかし、今は警察の鑑識技術も進み、とくにDNA鑑定の精度は飛躍的に向上している。DNA鑑定が容疑者に結び付き、解決する例も目立つ。
さらに、捜査手法もさまざまな方法が取り入れられている。典型的なのが証拠が乏しく、目撃情報も少ない事件の捜査で、各種の統計データや心理学的手法を用い、容疑者像を割り出すプロファイリング捜査が行われている。
このような現状を考えれば、殺人など凶悪、重大事件に限り、時効制度を維持していくか、撤廃も視野に検討する必要があろう。
被害者・遺族にとってはどんなに月日が経過しようと容疑者への憎しみはかわらない。