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【Re:社会部】失ったものと残ったもの
このニュースのトピックス:刑事裁判
ある休日のこと。都内の路地をふらふらと散歩していると、見覚えのある人物が向こうから歩いてきました。収賄事件で逮捕され、1審の東京地裁で実刑判決(控訴)を受けた防衛省前事務次官、守屋武昌被告でした。くたびれたベージュのチノパンに、黒い薄手のジャンパー姿。もともと服装には無頓着だったようですが、かつては「防衛省のドン」とも評された威光は皆無でした。
ちょうど1年前、この事件の取材に奔走していました。当時、同じ場面に遭遇していたら、間違いなく駆け寄って取材を試みたでしょう。しかしこの時は、声をかけるか迷ったあげく、会釈だけして通り過ぎることにしました。守屋被告の傍らに、家族が一緒だったこともありました。
事件の渦中では、妻同伴の接待に加え、防衛商社から息子の借金返済金や娘の留学費まで受け取っていたことで、家族ともども「たかり」と批難を受けました。守屋被告自身、約6600万円にのぼる退職金の返納を余儀なくされました。
そんな守屋被告を気遣うかのように、時おり腕を取ってさかんに話しかける家族に対し、とぼとぼした足取りながらも、笑顔で応じる守屋被告。遠ざかってゆく後ろ姿を見やりながら、守屋被告が事件で失ったものと、失わなかったものについて、思いをめぐらせました。(弘)
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