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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(26)利点も多い簡易送致制度 (1/2ページ)
少年犯罪事件の家裁への送り方には、関係書類全部を送る「通常送致」と異なり、A4の「簡易送致書」1枚だけを送る「超省エネ方式」がある。その件数も、一般保護事件の3分の1強であるから、相当な率である。窃盗なら被害額5000円未満というように軽微な事案に限られている。
ある万引事件を例にとって、「簡易送致書」に書かれている項目を、全部表してみよう。〇罪名 窃盗〇被疑者 氏名、生年月日(18歳)、性別(男)、学業(大学1年生)、住居、本籍〇保護者 氏名、年齢(45歳)、少年との続柄(父親)、職業(警察官)、住居(少年と同じ)〇犯罪事実
被疑者は、年月日・時間、場所(〇〇書店)において、本3冊(時価合計4500円相当)を窃取した。〇発覚の端緒−被害者の届け出〇犯罪の動機−ベストセラーの本3冊が読みたくて、出来心で偶発的に盗んだ。〇事後の状況−自己の軽率な行為を深く反省しており、保護者も監護能力があり、再犯のおそれはない。〇署員の採った処理−少年に訓戒を与え、招致した保護者に対し、今後十分監護するよう指導して連れて帰らせた。3冊の本は被害者に還付した。
「簡易送致書」は、これ1枚きりである。その内容を信用してよければ、動機も単純で(換金目的でない)偶発的・一過性の非行であり(書店から万引常習者との訴えがなかったようだ)、少年が深く反省していて、警察官の父親がすっ飛んできて今後の監督を誓約したというのであるから、「そりゃー再犯のおそれはないだろう」との印象を受ける。