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【検察の論告(2)】殺害、遺体損壊ともに合理的に行動 (2/3ページ)
・死体損壊の動機も了解可能
そもそも人を殺害した者が、自己の犯行の発覚を免れるために遣体を隠そうとすることは合理的な行動です。勇貴被告は亜澄さんを2階の浴室まで運ぶときに苦労し、3階の自室に遺体を隠そうとしたのですから、運搬や隠匿を容易にするために亜澄さんの遺体を切断するという動機も十分了解できるものです。加えて、遺体を切断してビニール袋に収めることは、死臭が拡散することを防ぐことができるので合理的ですし、浴室ですと遣体を切断したときに出る血液も洗い流せますので、浴室で遣体を切断するという手段を選択したことも、その場の状況に応じたものでした。
・死体損壊の犯行態様も合理的で目的を持っていた
勇貴被告は包丁とのこぎりを使って、切断しやすい関節部分で亜澄さんの遺体を切断しました。遣体を左右対称に15個に切断したことも、隠す場所が自室のクローゼット内くらいしかなかったことや、勇貴被告のきちょうめんな性格からすると、特に奇異なものとはいえません。また、亜澄さんの乳や尻を切り取るなどした行動についても、勇貴被告は亜澄さんが売春をしていると疑っており、こうした部位は汚らわしいと思っていたと供述しています。勇貴被告が潔癖症だったことからすると、合理的な行動として理解できます。
このように、遣体の切断状況も勇貴被告の性格が反映されたものであって、精神障害をうかがわせるような理解できない行為は全くありません。
・証拠隠滅工作
勇貴被告は、亜澄さんの遺体を中が見えないビニール袋3袋に入れて口を縛り、袋が水にぬれていたため下に新聞紙を敷き、発見されにくいように上に新聞紙をかぶせて、クローゼット内に入れ、扉を閉めました。そして、内臓などを入れた袋を入れたバケツは、犯行翌日、水槽下の戸棚に入れて扉を閉めました。
また、勇貴被告は犯行翌日、亜澄さんの内臓などが腐らないように氷嚢(ひょうのう)を作って一緒に戸棚の中にしまい、亜澄さんの死臭と気づかれないように、父親には自室にサメの死骸(しがい)があるのでにおいがするかもしれないと伝えました。
このように、勇貴被告は自己の犯行が発覚しないようにその場の状況に応じて知能を働かせ、手の込んだ証拠隠滅工作を行いました。これは勇貴被告が自己の行為が違法であることを十分認識していたからにほかなりません。
・犯行まで通常の社会生活を送り、犯行前後の行動も了解可能だった
勇貴被告は高校を卒業後、大学入試に備え浪人生として予備校に通学し、犯行翌日も予定どおり予備校の勉強合宿に参加するなどし、社会生活を送る上で取り立てて異常さをうかがわせる行動はありませんでした。
・小括
このように、勇貴被告が亜澄さんを殺害し、その遺体を切断して隠す過程で、勇貴被告の精神障害をうかがわせる事情は全く見当たらないのですから、簡易鑑定の結果をも踏まえると、勇貴被告に完全な責任能力があったことは明らかです。
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