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【検察の論告(2)】殺害、遺体損壊ともに合理的に行動 (1/3ページ)
〈完全責任能力が認められる〉
これまで述べてきたように、勇貴被告の捜査段階の供述は十分信用できる半面、勇貴被告の公判供述は信用できません。したがって、亜澄さんを殺害し、その遣体を切断した動機やその状況についても、勇貴被告の捜査段階における供述を基にして判断すべきなのです。そこで、勇貴被告の捜査段階における供述やそのほかの証拠を基に、先ほどの最高裁判決の判断要素に従って、これから勇貴被告に完全責任能力が認められることを明らかにしていきます。
・簡易鑑定の結果
本件では、捜査段階で医師により勇貴被告の簡易精神鑑定が行われ、「犯行時や現在、勇貴被告に精神病状態は見受けられない」と判断されました。
・殺人の動機は了解可能
勇貴被告が捜査段階で供述したように、勇貴被告は歯学部の受験に失敗し続け、最後の受験を間近に控えていたものの、その成績は良くなかったので、追いつめられた心境にありました。他方、勇貴被告は、両親に反抗的態度を取り続け、尊敬する父親をも泣かせる亜澄さんを憎らしく思っていました。
このような状況下で、勇貴被告は犯行当日、実の妹である亜澄さんから、いくら勉強しても無駄だという意味のことを言われ、さらに、亜澄さんから、両親が敷いたレールを走るだけだという意味のことを言われ、我慢できずに亜澄さんを殺害することを決意しました。このような動機は十分了解可能です。
・殺人の犯行態様は合理的で目的を持っていた
勇貴被告は亜澄さんを殺害することを決意すると、まず、亜澄さんの首を絞める方法での殺害を試みたのですが、これが失敗に終わると、亜澄さんを水死させることにしました。亜澄さんを浴室まで運び、浴槽に亜澄さんをあおむけに入れ、その頭を水中に沈めて窒息死させました。
日ごろから筋肉トレーニングに励み、腕力に自信があった勇貴被告がその場にあったタオルで首を絞めて殺害しようとすることや、それに失敗したため、今度は浴槽を使って水死させようとすることは、殺害を決意した者がとる行動としては合理的なものです。これらの殺害状況に、勇貴被告の責任能力を疑わせる行為は全くありません。
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