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【検察の論告(1)】被告の公判供述は場当たり的だ (3/3ページ)
また、歯学部以外には進学したくないのに、3年続けて受験に失敗し、両親からは今年が最後だと言われ、受験直前になっても成績が良くないという状況で、プレッシャーを全く感じなかったということがあるのでしょうか。加えて、亜澄さんを殺害し、その遺体を切断した状況について、断片的にでも記憶があるのに、当時の心境が一切分からないということがあるのでしょうか。あまりに不自然です。
また、勇貴被告は、自己の記憶内容の正確さが問題になっていることを理解した上でこの法廷で供述しました。
しかし、勇貴被告は第2回公判では、「亜澄から『勇君が歯医者になるのは、パパとママのまねじゃないか』と言われたように思う」、「犯行当日、亜澄から『勇君は、自分が勉強しないから成績が悪いと言っているけど、本当は分からないね』と言われたことは間違いないと思う」などと供述したのに、第5回公判では、「そのときその場所で聞いた会話かどうかは分からない」と話を変えました。
亜澄さんの遺体を切断したときの記億についても、勇貴被告は第2回公判では、「うんちが排水溝にあるといった情景、それと…内臓です、膜のようなものが引っ掛かっている…情景を記憶しています」などと具体的に自分から供述したのに、第5回公判では「(浴室での記憶は)思い浮かびません」と話を変えています。
このように、勇貴被告の供述はその場その場で合理的な理由もなく内容が変わるという場当たり的なものですので、この法廷で勇貴被告が自分の記憶どおりに供述していないことは明らかです。
もう一つ、これは重要なことですが、勇貴被告には公判で捜査段階での供述を変える動機があります。
勇貴被告にとっては、憎んでいたとはいえ、実の妹を殺害したことは心に重くのしかかっているはずです。ですから、捜査官に対しては励まされながら供述することができても、この公開の法廷で動機や犯行状況を供述することは抵抗感が大きいはずです。
その上、兄が妹を憎んで殺害し、その遣体を切断したということは、両親にとってはつらいはずですし、勇貴被告が公判で率直にその事実を供述することは、両親の心情をさらに深く傷つけることは明らかです。ですから、勇貴被告の社会復帰を待ってくれる両親の心情を思いやり、勇貴被告が、妹を殺害し、その遺体を切断した動機や犯行状況を供述しないことには十分な理由があるのです。
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