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【検察の論告(1)】被告の公判供述は場当たり的だ (2/3ページ)
ですから、昭和59年7月3日の最高裁決定の判断要素に従い、犯行動機の了解可能(=合理的で誰でも理解できるという意味)性、犯行の手段や態様の合理性、証拠隠滅工作の存在や内容、犯行前後における勇貴被告の行動の合理性などを総合考慮すれば、勇貴被告には犯行の前後を通し、責任能力を疑わせるような事情は一切ありませんでしたので、犯行当時、完全な責任能力があったことは明らかです
〈勇貴被告の捜査段階での供述は信用できる〉
捜査段階における勇貴被告の供述の内容は、以前この法廷で朗読して明らかにしたとおりで、犯行動機や犯行状況について詳細に述べています。勇貴被告の捜査段階の供述内容は、たとえば亜澄さんの首をタオルで絞めた様子について、「亜澄から寒いと言われて、肩に掛けてやったタオルの両端を両手で持って首の前で交差させて絞め付けた。亜澄があおむけに倒れ、脚を伸縮させて僕から逃げようとしても、180まで数を数え終わるまでタオルから手を離さずに亜澄の首を絞め続けた」などと、亜澄さんの具体的動作を交えて詳細に供述しています。
浴室で亜澄さんを水死させた様子についても「浴槽内に頭を沈められた亜澄が途中で体をけいれんさせたことが首を押さえた手に伝わる感触で分かり、まるで亜澄が水を飲んでいるように感じた」などと、実際に体験した者でなければ語ることができない生々しい供述をしており、犯行動機、犯行態様、犯行後の状況のいずれをとっても具体的かつ詳細で臨場感にあふれている上、その供述には、勇貴被告しか語ることができない内容が多く含まれています。
さらに、勇貴被告の供述は、解剖医の解剖所見や遺体の状況など、客観的な証拠とも符合するものである上に、亜澄さんの遺体を切断したとき、陰部には一切触れていないと供述するなど、決して捜査官の言いなりにはなっておらず、否定したいことは否定しており、これらを総合すれぱ勇貴被告の捜査段階の供述は十分信用できるものなのです。
〈勇貴被告の公判供述は信用できない〉
これに対し、以前この法廷で勇貴被告が述べた公判供述は、供述内容自体が不自然かつ場当たり的で信用することができません。
たとえば、勇貴被告は亜澄さんと不仲ではなかったと供述しますが、ではなぜ被告人は亜澄さんの顔をアザができるくらいに殴ったり、失敗して自分の手の骨が折れるくらいにまで亜澄さんを殴ろうとしたのでしょうか。
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