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【あと1年で裁判員(4)】仕事、通勤、育児…まだ整わぬ「負担回避支援策」

2008.5.7 19:49
このニュースのトピックス迫る裁判員制度
模擬裁判の審理後に行われた評議。裁判長(手前左から2人目)の話に耳を傾ける裁判員たち=4月14日、東京・霞が関の東京地裁(代表撮影)模擬裁判の審理後に行われた評議。裁判長(手前左から2人目)の話に耳を傾ける裁判員たち=4月14日、東京・霞が関の東京地裁(代表撮影)

 ■「裁判で仕事休めば、他の人の迷惑になる」

 3月上旬に3日間、東京地裁で開かれた模擬裁判。

 裁判員役として参加していた阿部美浦(みほ)さん(39)はこの間、夕方に模擬裁判が終わるといったん帰宅し、家事をこなした。その後、勤務先に向かい、連日、夜の10時から朝の6時まで夜勤をこなした。そして、午前9時過ぎには東京地裁に姿を見せる。

 ほとんど睡眠の取れない3日間だった。

 阿部さんは裁判所と職場を往復した3日間をこう振り返った。

 「裁判に参加するために休めば、その間も自分の分まで仕事をする人がいる。会社には裁判員制度に向けた休暇制度がなく、有給の申請はできなかった」

 ■中小企業の環境整備は進まず…

 裁判員に選任されて裁判所に呼び出され、仕事を休まざるを得なくなった労働者に対しては、企業は解雇や降格などの不利益な扱いをしてはならない−と裁判員法は定めている。

 トヨタ自動車やマンダムなどが裁判員休暇制度を設けるなど、大企業では裁判員制度に対応する動きが出てきている。

 一方で、中小企業での環境整備は進んでいないのが現状だ。

 東京商工会議所が中小企業を対象にした調査によると、裁判員休暇制度の導入を検討していない企業は9割に上った。

 こうした企業は有給などで対応するとしているというが、同会議所の担当者は「会社や同僚への負担を思って、休日出勤をしたり残業をしたりすることで、仕事の埋め合わせをする人が多いのではないか。裁判のために休むとしても、有給を取らない場合が出てくる可能性もある」と打ち明ける。

 「裁判員がスムーズに休暇を取れるよう、環境整備をしてほしい」

 阿部さんは模擬裁判の最後、裁判所に対してこう要望した。

 法務省は「裁判員制度は国民に行き過ぎた負担を強いるものではない」としているが、参加への環境づくりは、各企業の理解に頼っているのが現状だ。

 裁判員に選任された際の負担は、何も自身の本業への影響に限ったものではない。

 離島など、裁判所までの交通機関が限られた遠隔地の居住者が選任された場合、遠隔地居住というだけでは辞退事由に当たらない。日帰りができないため、泊まりがけで裁判に参加せざるを得なくなるケースも考えられる。

 宿泊が必要な裁判員に対しては、地域によって8700円か7800円の宿泊費が裁判所から日当とは別に支給される。

 ■まだまだ“不親切”なバックアップ策…法務省も「やってみなければ分からない」

 とはいえ、裁判所が宿泊施設の予約や斡旋を行うわけではなく、参加者本人が宿を押さえなければならない。

 「呼び出しから裁判当日までは時間もある。宿を探す時間は十分あるのでは」

 法務省裁判員制度啓発推進室はそう言うにとどまっている。

 また、子育て中の保護者が選任された場合、参加している間は子どもを保育施設に預けざるを得ない。厚生労働省は3月、各地の裁判所や自治体に一時保育制度を活用できるよう整備を求める通知を出した。

 一時保育は、保護者の急病の際などに、保育園に通っていない子どもを預かる制度だ。

 育児中の保護者が裁判員に選ばれた際、裁判所を通じて各自治体が保育施設を紹介することになるが、費用は自己負担となる。厚労省では「1日の一時保育の相場は2000〜3000円。日当から十分にまかなえる」としている。

 負担を強いられる国民に対し、現在のところバックアップ体勢が十分とは言い難い。

 ある法務省幹部は本音を打ち明けた。

 「実際にどこまで環境を整えればスムーズにいくのかは、スタートしなければ分からない。制度が始まってから、いろいろと調整すべき点が出てくるだろう」

    =(5)へ続く

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模擬裁判の審理後に行われた評議。裁判長(手前左から2人目)の話に耳を傾ける裁判員たち=4月14日、東京・霞が関の東京地裁(代表撮影)
東京地裁で4月に行われた模擬裁判。裁判員制度の開始まで、いよいよあと1年を切った(代表撮影)

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