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【主張】「夫殺害切断」判決 鑑定評価の難しさ宿題に

2008.4.29 03:28
このニュースのトピックス渋谷バラバラ殺人 セレブ妻公判

 犯行当時、被告に善悪を区別する能力(責任能力)があったかどうか。精神鑑定をどこまで判断材料にするかは極めて難しい。来年5月から始まる裁判員制度に向け、一つの方向性を示す判決が東京地裁であった。

 東京都内の自宅で夫を殺害し、遺体を切断したなどとして、殺人と死体損壊・遺棄罪に問われた三橋歌織被告の裁判で、裁判長は被告の責任能力を認め、懲役15年(求刑同20年)を言い渡した。

 裁判では検察・弁護側双方の請求した鑑定医が、ともに「被告は幻覚妄想状態下で犯行を犯しており、善悪を判断し行動を制御するなどの能力がなかった」とする鑑定結果から、心神喪失で責任能力はないとの判定を出した。

 刑法39条は、善悪の区別が全くつかない心神喪失の場合は罰しないとし、心神耗弱(こうじゃく)は心神喪失ほどではないが、善悪の判断が著しく低下した状態で、この場合は刑を軽減すると定めている。

 このため、東京地裁は精神鑑定の結果をどう評価し、殺人について無罪、あるいは大幅な減刑判決を下すのかが注目されていた。

 今月25日の傷害致死事件の最高裁第2小法廷判決は、精神鑑定の評価について、「否定する合理的な事情が認められない限り、十分に尊重すべきだ」とし、鑑定を重視する初判断を示した。

 東京地裁は鑑定について、「鑑定手法に何ら不相当なところはない。鑑定に合理性がある限りこれを尊重する」としながらも、「責任能力は総合的に法的判断により決められる。その意味で鑑定結果に拘束されない」とした。

 4日前の最高裁判決を一部踏襲した判決ともとれるが、「鑑定結果は専門的知見に基づく参考意見である」とも述べている。

 責任能力の見極めは、プロの裁判官でも難しく、心神喪失と耗弱の分かれ目も素人の裁判員にとっては極めて困難な判断を迫られることが予想される。

 最近は残酷で残虐な事件が多発し、責任能力を争うケースが目立っている。鑑定結果は、裁判員が理解できるように難解な用語や表現は避け、法廷で分かりやすく説明する努力が検察、弁護側双方に求められる。

 精神鑑定だけに頼るのではなく、鑑定結果を参考にしながら、法廷に提出された証拠や法廷証言などを詳細に検討し、量刑を下すのが基本だろう。

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