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管制官の単純ミスは「危険行為」 ニアミス公判解説
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降下を指示すべき便名を言い間違えた管制官2人を逆転有罪とした11日の東京高裁判決。1審判決とは正反対の結論になったのは、便名言い間違いというミスを「実質的に危険な行為」ととらえたか否か、その認定の差に尽きる。
1審判決は、たとえ907便が誤指示により降下しても、958便は航空機衝突防止装置(TCAS)が作動しなければ水平飛行を続けていた−という前提で判断。「その段階では衝突を招く危険な指示ではなかった」として、言い間違いミスには実質的な危険性はなかったと判断した。
しかし高裁判決は、TCASによって907便には上昇指示が、958便には降下指示が現実に出ていた点を重視。958便が水平飛行する前提で判断した1審判決を「両機が急接近しているという切迫した状況を踏まえておらず、事実から目を背けた空論」と批判した。
その上で、管制官が907便に誤って降下指示を出したことこそが、958便とニアミスを起こし、急激な回避措置によって乗客がけがをする恐れのある「実質的に極めて危険な管制指示」と明確に認定した。
管制官による誤った指示、TCASによる指示、機長判断による緊急回避措置−と、このニアミスは複雑な要素がからみ合って発生している。ただ判決は、管制官の単純ミスは大惨事につながりかねないということを厳格に示した点で、航空行政に携わる者への大きな戒めとなろう。(福田哲士)