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【法廷から】家族の嗚咽の中、涙の誓い「覚醒剤をやめます」

2008.4.4 11:02
このニュースのトピックス法廷から

 2日、東京地裁。この日も開廷される法廷が少なかったせいか、約20席ある傍聴席は満席だった。開廷前、裁判所の職員が「被告の家族が来ていますので、誰か代わっていただけませんか」と傍聴人に頼み、数人が立ち上がって法廷から出ていく場面もあった。

 この日法廷に立ったのは、小柄で金髪のショートヘアの女性被告(28)。罪名は、覚醒(かくせい)剤取締法違反だ。

 起訴状によると、被告は平成20年3月7日ごろ、東京都台東区のホテルで覚醒剤を加熱させて吸引した。

 この公判は即決裁判手続で行われ、被告は起訴事実と有罪であることを認めた。

 弁護人「覚醒剤を始めたきっかけは?」

 被告「離婚してさみしかった」

 弁護人「逮捕されて子供と離れてしまって、どんなことを考えた?」

 被告「申し訳ないと思う」

 弁護人「もう覚醒剤を利用しないね」

 被告「はい」

 弁護人「子供は何人いる?」

 被告「3人です」

 弁護人「妹さんが子育てしながら接見に来てくれた?」

 被告「はい」

 弁護人「妹と母が傍聴に来ているの知っている?」

 被告「はい。知っています」

 傍聴席では、証言台に立つ被告の背中を妹と母親が心配そうに見つめていた。

 検察官「あなたのご家族がね、あなたの背中を見てどんな顔をしているか、わかりますか?」

 被告「…」

 傍聴席では被告の母がハンカチで目頭を押さえてむせび泣き、妹も涙を流していた。

 検察官「2人とも涙ぐんで泣いていますよ」

 被告「すみませんでした…」

 消え入りそうな小さな声だった。

 検察官「覚醒剤を使って自分の身体が傷つくだけだからいいと思っていたかもしれないけど、家族を辛い目に合わせたこと、わかるでしょ」

 被告「はい」

 検察官「(裁判が)終わったらね、家族の姿を見てください」

 被告「はい」

 涙声で答えた。

 検察官「(薬物事犯を犯した)女性の60%が再犯します。今流した涙にかけてもうしないと誓いますね?」

 被告「はい」

 裁判官は覚醒剤を入手した相手についてただした。

 裁判官「今回、覚醒剤をもらった人との関係は今後どうしますか?」

 被告「縁を切ろうと思います」

 検察官「いかなる理由があろうと覚醒剤に手を出したらいかん。誓いますね」

 被告「誓います」

 検察側は懲役1年6月を求刑し結審。裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 薬物事犯は被害者のいない犯罪といわれることがある。しかし、検察官が指摘したように、覚醒剤を使用して裁かれる姿を見て心を痛め、傷つく家族がこの被告にはいた。

 今回の件で、離婚で空いた心の穴を覚醒剤では埋められないことを被告も理解しただろう。これからは家族と協力して、3人の子供を立派に育てることに気持ちを向けてほしい。

      (末崎光喜)

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