MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース: 事件 犯罪・疑惑事故・災害裁判写真RSS feed

【プレーバック談話室】(3)「若者言葉の動機は衝突回避」「婉曲表現」は国民性

2007.12.29 16:26
このニュースのトピックス言語・語学

 司法通訳という仕事柄か、井上健史さんの投書は日本人の気質にかかわる示唆に富む。国語学者の大野晋さんは著書『日本語の文法を考える』(岩波新書)で、会議などで結論を出す際、「〜することになりました」と言われた場合は納得するものの、「〜することにしました」と断定的に言われると、“それは行き過ぎではないか”と思う傾向があると述べる。

 日本人はさまざまな物事について、(1)自然の成り行きの結果ととらえ(2)自然の成り行きなら仕方がないと思う−傾向があるからだとしている。

 大野さんによると、日本語で可能を表す「〜できる」は「出(いで)来(く)る」、つまり自然に出てくるというのが語源で、個人の努力の結果、可能になるという西欧の考え方とは異なる。

 日本人はなぜ、自然の成り行きと考えるのか。日本の四季をはじめとする「自然の細やかな変化に対応しようとすることが心理に影響しているのでは」と話す。

 この「婉曲(えんきょく)表現」は若者だけでなく、もともと日本人全体にもみられるものだという。実際、言語学者の故金田一春彦氏は『日本語』(岩波新書)で「お茶が入りました」を、「何と美しい言葉か」と書いた。婉曲的で控えめな優しさを感じさせる表現だ。

 ただ、外交など国際舞台では、はっきりものを言わないと「相手にやられてしまうので、『〜です』『〜します』とはっきり言うように変えていった方がいいと思う」と大野さん。みなさんはどう考えるだろうか。

 ■時代に即した表現

(司法通訳、井上健史=59)

 「特上ランチになります」とサービス係が料理をテーブルに置く。なぜ「特上ランチです」と言わないのか。しばらく考えて理由がわかった。

 「特上ランチです」は断定的だ。店側が特上ランチのつもりでも、客がどう反応するかわからない。だから「特上ランチには見えない粗末な料理かもしれませんが、わたしどもの店ではこれが特上ランチになります」と下手に出ているのだ。なかなか賢い表現方法だ。

 日本が貧しいころはけんかが多かったが、豊かになるにつれ無益なけんかをやめようというムードになり、他人を刺激しないファジーな言い方をするようになった。「いいと思う」ではなく「いいかなって思う」だ。

 「とか」という表現もそうだ。「田中君が」と言うと断定的だが、「田中君とかが」なら断定していない。語尾を上げる変な言い方も疑問形式にして断定を避けている。また「田中君があ」という間延びした表現も同じこと。時間を稼いで言葉を慎重に選んでいる。

 断定的表現は気分は良いが、人と衝突する恐れがある。若者の言葉は熟年世代には変に聞こえるが、実は時代に即している。

(東京都江戸川区=4月25日掲載)

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。