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【法廷から】妻の入院で自宅に放火した男 (1/2ページ)
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検察官と男性被告(63)のやりとりは、1時間近くも続いていた。
「火を付けたときの気持ちを覚えていますか?」
「…うまく言えません」
「死にたいと思って火をつけたのではないのですか?」
「死にたいとは思っていませんでした」
答えに困ると、被告は首を傾けてこう言った。
「申し訳ありません」
自宅に火を付けたとして、現住建造物等放火の罪に問われた被告の初公判が2日、東京地裁で開かれた。
検察官は、被告から何とか明確な動機を聞き出そうとした。だが結局、被告は自分の心の中を説明することができなかった。
起訴状によると、放火の概要は次のようなものだった。
3月の深夜、被告は自宅2階で布団に灯油を染み込ませ、ライターで火を放った。一角は古い木造住宅の密集地で、火は住宅の2階部分を焼き、隣家3棟にも延焼した。家の中にいた被告と被告の二男は逃げだし、幸い近隣住民にもけがはなかった。
被告は腰から下に大やけどを負って5カ月間入院。退院した8月に逮捕された。
妻と二男との3人暮らしで、家族仲は良かったという被告。放火の背景にあったのは、妻の病気だった。