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【法廷から】スタンガン使ったわいせつ男 裁判長が一喝
「スタンガンを使うまでして、女性の体に触るのは、おかしいんじゃないかと言っているんですよ」
裁判長の怒りに満ちた声が法廷に響き渡った。それまで無表情だった被告の男(23)は、うろたえながら、「あっ、あっ」と言葉にならない声を発した。
30日、東京地裁で開かれた初公判。傷害と強制わいせつの罪に問われた被告は、犯行に対する反省の気持ちを問われ、「自分の考えが甘かった」と繰り返した。全く的はずれで、気持ちの伝わらない答えに、裁判長の叱責は厳しかった。
被告は7月、東京都大田区の路上で、歩いていた女性にスタンガンを使用し、体を触ったとして逮捕された。
検察側の冒頭陳述によると、犯行の手口は卑劣だった。
深夜、信号待ちをしていた被害者の女性に狙いを定め、そのあとをつけた。人通りがなくなると背後から近づき、左手で被害者の口をふさいだ上で、スタンガンを首筋に押しつけ放電した。体の自由を奪うためだった。
被害者はその場に座り込んだが、被告の左手にかみつくなどして抵抗したため、被告は胸を触っただけで逃走した。
被害者は電流で首をやけどし、10日間のけがを負った。
「女性をスタンガンで気絶させ、体を思うままに触ろうと思った」
被告が語った動機に、背筋が寒くなった。
供述によると、被告は3年前から、自転車に乗り、通りすがりの女性の尻を触るなどの犯行を繰り返していた。
その間、携帯電話のインターネットサイトで痴漢の常習者と知り合い、犯行に関する情報を交換していたという。その中には「師匠」と呼ばれるリーダー格がおり、スタンガンを使う手口も師匠から教わったものだった。
さらに、犯行の夜は台風が接近し、「足音や悲鳴が聞こえづらく、犯行に適していた」と平然と言い放った。
法廷での被告は、終始無表情だった。検察官が犯行の様子を朗読している間、被告の母親が証人として証言している間も、顔色はほとんど変わらず、目は宙を見つめていた。
最後になって被告は「被害者につらい思いをさせて申し訳ない」と謝罪したが、検察側は「女性を欲望のはけ口としか考えていない犯行だ」として懲役3年6月を求刑した。
ただ、携帯サイトの向こう側には、今も被告とつながりがあった数知れない犯罪者と予備軍が潜んでいる。取り締まりの強化を早急に進めてもらいたい。(菊地剛)