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「重要行為であいまい供述」 光市検察側弁論要旨(7) (2/2ページ)

2007.10.18 20:05
このニュースのトピックス光市の母子殺害事件

 しかし、なぜ座いすの位置を動かしたのか、なぜテーブルこたつの北東に置いたのかについては全くその理由を述べることができないのであって、被害者に抱き付いている際の座いすの動きを異常に詳細に述べていることと対比すれば、その不自然さは顕著である。

 被告人の当公判廷におけるストーブガードやテーブルこたつに関する供述は実に詳細である。被告人の肩が当たった状況、それによってストーブガードが動いた位置および状況、ストーブの上にあったやかんが落ちる状況および落ちた位置、ストーブガードを押した状況とそれによるストーブガードとやかんの位置の変化、被害者の足の裏が当たってテーブルこたつが動いた位置等、現場に第三者がいて冷静に観察したとしても観察しきれないほど詳しく述べ、その位置について現場の状況についての実況見分調書に合う位置を図示している。

 およそ、人が他人ともみ合っている場合、その注意はもみ合いの相手に向けられており、その間に周辺にある器物がどのようになるかには注意が及ばないことが通常である。ところが、被告人は自分の足で座いすをけった状況のみでなく、座いすが被害者の左足に当たってさらに左にずれた状況や、被害者の足の裏がテーブルこたつに当たった状況等、直接には被告人がかかわっていない状況についてまで具体的な供述を行っている。

 ところが、被告人はこの一連の行為の中で被害者の頸部をスリーパーホールドの形で絞めたとしているが、この点については「無意識的にやったことでありまして、被害者の動きがなくなった後に、スリーパーホールドであったことが確認できております」「(自分がスリーパーホールドの形をしていることは)分からなかった状態にありました」と供述している。座いす、ストーブガード、テーブルこたつの動きについて詳細に観察していながら、自分自身の行為は意識していないというのである。

 さらに、被告人の供述全体を見ると、被告人は被害者を死亡させた際、被告人の右手が被害者のどこを押さえていたかについてはあいまいな供述をしており、被害児の首をひもで絞めた状況についても、自分自身の手に絡めていたひもを赤ちゃんの首を絞める行為に使ったかどうかわからない、その認識はない旨供述しているのである。

 本来、最も記憶しているべき自分自身が行った重要な行為についてはあいまいな供述をしている一方で座いす、ストーブガード、テーブルこたつの状況といういわば派生的な状況に関しては極めて詳細な供述をしているのであって、このことからしても、被告人の弁解自体が全体として不自然なものであることは歴然としている。

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