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真の「正義」はどこに 「伝説の鬼検事」田中森一氏インタビュー (3/5ページ)
ヤリ手といわれる裏社会の連中は、バブル崩壊で能力まで根こそぎつぶされてしまったと感じるなあ。経済を活性化させようと思ったら、能力のない人間に金を貸してもあかんののにな。銀行も、バブル時に思い切って事業に貸し付けたところはだめになってしまった。残ったのは、その時に手を出さなかった能なし連中ばっかりや。
調書のテクニックにも触れよう。被疑者が起訴されて裁判になると、通常は検事の調書が一番の証拠になる。
裁判官に信用される調書とはどういうものか。それは論理が一貫しており、具体性があり、迫真性があり、秘密を暴露しているというもの。それを検事は分かっているから、あの手この手で調書を仕立てるんだ。
例えば、部屋の見取り図を書くとき、あえて人やイスの位置なんかを実況見分書とは違うようにしちゃう。記憶というのはあいまいなものだから、あまりカチッとしていると裁判官に「作為的だ」とみなされかねないわけ。
聴取した証人の名前をわざと間違えて書き、調書読み上げの際に本人に訂正させておく、なんていう手もある。仮に証人が裁判で「そんなことは話していない」と内容を否定しても、「名前を直しているぐらいだから、ほかの個所も間違いがあれば訂正させているはずだ」との論が通る。裁判官も「なるほど」と思うよ。
やり方はほかにもいろいろあるけど、裁判での実態はそんなもの。やっぱり裁判官は検事を信用しているし、テクニックを見抜く能力もない。逆に、見抜かれるようだったら検事としての資格はないよ(笑)。
結局、調書に信用性を持たせることは、そんなに難しいことじゃないのよ。供述だけが焦点の事件では、こうして被告にとって納得のできない調書が証拠として採用されるから、いろいろ問題になってくるわけ。自分の良心が「検察の正義」に負けると、こういうことが横行するんやな。
元検事の弁護士、いわゆる「ヤメ検」について、「節操がない」とよからぬ声があるのは確かだ。ワシも「センセイ、二重人格ですか、五重人格ですか」「よくそれだけ変われますな」と揶揄(やゆ)されたことがあるわ(笑)。