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【つなぐ「震災の若き語り部たち」】(2)父の背中…救助の道 神戸市消防局勤務 井上奈緒さん(21) (2/2ページ)
このニュースのトピックス:地震
「お父さんはもう帰って来ないんじゃないか」
井上さんは毎日、学校から帰ってすぐテレビにかじりつき、雅文さんの姿を探すようになった。そして次第に、救助活動に奔走する消防士の姿に目を奪われるようになった。
不安で一杯だった胸に、同じように頑張っている父を応援する気持ちが生まれた。テレビで消防活動が遅いと非難する人をみて、「うちのお父さんだって頑張ってるんや!」と叫んだこともあった。
小学校を卒業するころには「消防士になりたい」と決意し、文集にも書いた。その後雅文さんの勧めもあり、県立舞子高校(神戸市垂水区)の環境防災科に進学。さまざまな場所で、被災体験を話す機会を得た。
現在は神戸市西消防署に勤務し、学校や企業を回って防災訓練の指導を担当。「子供たちに被災体験を話してほしい」という依頼を受けることもあるという。
幼心に怒りを覚えた被災者の気持ちも、理解できるようになった。「消防が火を消さなければ誰が消すのか。消防士はそれだけ重い責任を負っている」。同時に、それが自分の使命だとの思いも強く、「いつか必ず現場に出て人を助けたい」と誓う。
あの日、「なぜ」の思いで見送った父の背中は、消防士となった今、一番の目標に変わった。
「もし自分が同じ立場になったら、あの時のお父さんのようでありたい。常に仕事に対して真っ直ぐなのが、本物の消防士だと思うから」
(山本祐太郎)
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