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【つなぐ「震災の若き語り部たち」】(2)父の背中…救助の道 神戸市消防局勤務 井上奈緒さん(21) (2/2ページ)

2009.1.14 18:39
このニュースのトピックス地震
父の雅文さん(右)と「震災とわたしの仕事」をテーマに授業をする井上さん=平成20年12月、神戸市灘区父の雅文さん(右)と「震災とわたしの仕事」をテーマに授業をする井上さん=平成20年12月、神戸市灘区

 「お父さんはもう帰って来ないんじゃないか」

 井上さんは毎日、学校から帰ってすぐテレビにかじりつき、雅文さんの姿を探すようになった。そして次第に、救助活動に奔走する消防士の姿に目を奪われるようになった。

 不安で一杯だった胸に、同じように頑張っている父を応援する気持ちが生まれた。テレビで消防活動が遅いと非難する人をみて、「うちのお父さんだって頑張ってるんや!」と叫んだこともあった。

 小学校を卒業するころには「消防士になりたい」と決意し、文集にも書いた。その後雅文さんの勧めもあり、県立舞子高校(神戸市垂水区)の環境防災科に進学。さまざまな場所で、被災体験を話す機会を得た。

 現在は神戸市西消防署に勤務し、学校や企業を回って防災訓練の指導を担当。「子供たちに被災体験を話してほしい」という依頼を受けることもあるという。

 幼心に怒りを覚えた被災者の気持ちも、理解できるようになった。「消防が火を消さなければ誰が消すのか。消防士はそれだけ重い責任を負っている」。同時に、それが自分の使命だとの思いも強く、「いつか必ず現場に出て人を助けたい」と誓う。

 あの日、「なぜ」の思いで見送った父の背中は、消防士となった今、一番の目標に変わった。

 「もし自分が同じ立場になったら、あの時のお父さんのようでありたい。常に仕事に対して真っ直ぐなのが、本物の消防士だと思うから」

(山本祐太郎)

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父の雅文さん(右)と「震災とわたしの仕事」をテーマに授業をする井上さん=平成20年12月、神戸市灘区
消防士だった父親にあこがれて自らも消防士の道へ進んだ井上さん=8日午後、神戸市西区(彦野公太朗撮影)
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