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【産経抄】5月15日
このニュースのトピックス:自然災害
倒壊したがれきのすき間から、必死に手を伸ばす少女の写真に、息をのんだ。彼女は無事救出されただろうか。応急治療施設で、ほおに血糊(ちのり)をべったりつけた少女が「母と連絡がとれない」とつぶやいていた。お母さんと会えているといいが。
▼中国・四川大地震の被害はどこまで拡大するのか。地震のエネルギーは、阪神大震災の約20倍だという。それにしても、安全であるべき学校が簡単に崩れ落ち、子供たちが生き埋めになるなんて。大正12(1923)年に起きた関東大震災でも、東京市立小学校の約3分の2が、倒壊するか焼失した。
▼11年後に関西を襲った室戸台風もまた、校舎を次々になぎ倒し、750人もの生徒や教員の命を奪った。被害を調査した寺田寅彦は、あきれかえっていう。「小学校建築には政党政治の宿弊(しゅくへい)に根を引いた不正な施工が附纏(つきまと)っているというゴシップもあって、小学生を殺したものは〇〇議員だと皮肉をいうものさえある」(『天災と国防』)。
▼中国ではいまだに、学校など公共施設の建設で、コンクリートに鉄筋を入れないなどの手抜き工事が横行しているらしい。役人と癒着した悪徳業者が、建築費を浮かすためだ。おからのようにもろいことから、豆腐渣(とうふさ)(おから)工程という言葉まである。
▼もっとも当時の日本と違って、今の中国ではインターネットが発達している。北京五輪の聖火リレーをめぐっては愛国主義を爆発させたが、今回は、リレーをやめよ、といった「正論」も出てきた。
▼もっと踏み込んで、メンツを捨てて、日本の救援申し入れを受け入れよと、政府に呼びかけたらどうだろう。寅彦も、「科学的文明国民の愛国心」には「もう少し合理的な様式があってしかるべき」といっていた。