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【産経抄】5月10日

2008.5.10 03:24
このニュースのトピックスミャンマー情勢

 伊勢湾台風が紀伊半島から東海地方を襲ったのは昭和34(1959)年のことだった。戦後の復興も一段落し、何かと明るい兆しも見え始めていたころだ。そんなムードをぶち壊すように5000人以上の命を奪い、莫大(ばくだい)な金額の被害を与えた。

 ▼最大風速75メートルで、当時有史以来と言われたほど「凶暴な」台風だった。だが一方で、防潮堤や避難体制の不備といった人災的側面も、さまざまに指摘された。それだけにその後の政府の対策は、政治史上異例と思えるほどに素早く、大がかりなものだった。

 ▼国家予算がようやく1兆円を超えたころ、翌年からの治水事業十カ年計画に9200億円もつぎこんだ。これが翌35年の日米安保条約改定とともに、日本の経済成長を呼び込むことになる。国民の命と財産を守るための体制が整備され、初めて国の発展が可能になったのである。

 ▼死者が10万人を超える恐れもあるというミャンマーのサイクロン被害は、伊勢湾台風以上に人災の要素が強いようだ。それなのに、この国の軍事政権は新憲法への国民投票実施に汲々(きゅうきゅう)としている。緊急援助隊など外国からの「人」による支援も受け入れを拒否してきた。

 ▼国際社会から批判の強い政権だけに、支援と引きかえに民主化を迫られ政権崩壊につながることを心配しているのだろうか。まるで国民の命よりも政権の方を大切にしているようにも見える。だとすれば、どこやらの独裁国家と少しも変わらない。

 ▼「禍(わざわい)を転じて福となす」という言葉を持ち出すには被害が大きすぎるかもしれない。だがここは、政権などどうなってもいいから新しい国づくりへの足がかりとする。大災害経験国としてはミャンマー国民にもそんな覚悟を持ってもらいたい気がする。

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