ニュース: 事件 RSS feed
つながった命へ感謝つづる 娘の回復の軌跡、母が出版
107人が死亡した尼崎JR脱線事故で大けがを負い、5カ月間意識不明だった鈴木順子さん(32)=兵庫県西宮市=の奇跡的回復の軌跡をつづった本を、母、もも子さん(60)が4月に出版する。「多くの人が順子の命をつないでくれた。感謝の気持ちを伝えたい」。順子さんも自分の足だけで歩けるよう毎日訓練を続けている。
書名は「ありがとう わが娘・順子、JR福知山線事故からのテイク・オフ」。事故前の家族の姿、順子さんの行方を捜し続けた事故当日、その後の治療、優しかった周囲の目…。200ページにわたりつづった。
3年前の4月25日。2両目にいた順子さんは救出時、意識はなく脳も損傷。医師は冷静に「3日がヤマ」「亡くなります」と告げた。もも子さんら家族は枕元で名前を呼び続けた。秋の風が吹き始めた9月。乾いた唇から「お母さん」と言葉が漏れた。意識が戻った。
退院し、バリアフリーに改築した自宅でリハビリが始まった。今は両手で歩行器につかまり室内を歩けるまでに。高次脳機能障害の後遺症があるが、冗談を言ったり、お菓子をほおばって「おいしい」と笑顔を見せたりするのも日常の姿だ。
事故前の鈴木家。姉と弟は結婚し独立し、もも子さんも仕事で家を空けることが多かった。もも子さんは「親子の言い争いも絶えなくて、ばらばらだった」と振り返る。
「わたしは子育てのやり直しをさせてもらっている。順子を囲んでみんながこんなに笑顔になれるなんて考えられなかった」と目を潤ませる。
順子さんは「命は大切。死ぬぎりぎりまで行ったわたしにしか言えないことがある。それをみんなに分かってほしい」。もも子さんはその思いも本に込めた。1575円。PHP研究所(東京)から出版される。

