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【主張】イージス艦衝突 緩みを正す改革実現こそ
海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故後の経過は、防衛省・自衛隊が危機管理体制に大きな問題を抱えていることを浮き彫りにしている。
これまでにあたごの不十分な監視や連絡ミスなどが判明した。危機意識の薄さに唖然(あぜん)とするばかりだ。加えて、乗組員が漁船を視認した時間が衝突の2分前ではなく「12分前」だったとの情報を約20時間公表しなかったことや、防衛省が海上保安庁の捜査前にあたごの航海長をヘリコプターで呼びつけたこともわかった。
防衛省は公表遅れに対し、情報の確認と調整に時間を要したと説明し、航海長の事情聴取については一刻も早く事故情報を把握して対外的に説明するための行動と強調している。
防衛省も一方の当事者であり、説明責任を果たそうとしたのだろう。
だが、発見時刻の修正に次ぐ修正は情報を小出しにしているとの印象を強め、海保の捜査段階での防衛省の聴取は捜査妨害となる恐れがある。聴取に際し、けが人の同行を装ったことも隠蔽(いんぺい)工作と疑われる素地を作った。
いずれも不適切であり、危機管理を担う役所としての機能に疑念を持たざるを得ない。
問題は、こうした防衛省・自衛隊の緩みをどう是正していくかだ。綱紀引き締めなどの再発防止策にとどまらず、防衛省・自衛隊の組織そのものの見直しも喫緊の課題である。
要は、自衛隊の組織目的である「国防」は、高いモラルや士気を保ち続けなければ全うできない。だが、現実は自衛隊よりも内局が優位に立っており、その弊害が深刻化している。士気も損なわれがちだ。
石破茂防衛相が提起した組織改革の構想はこうした問題点を改めるものだ。現在の内局と自衛隊を整理統合して、(1)防衛力整備(2)部隊運用(3)国会や国民に対する説明責任−の3つの機能別に再編成する。
政治家による文民統制を確立するとともに制服組と背広組が協力して防衛相を補佐する組織に改革しようという方向性を支持したい。
石破氏の進退問題が出ているが、現時点での閣僚の引責辞任で問題は解決するだろうか。改革こそ、石破氏が全力で取り組むべきことだ。