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福知山線事故の教訓 JR西日本教材を関東の私鉄が活用 

2008.2.16 21:09
このニュースのトピックス鉄道マニア

 福知山線脱線事故を教訓にJR西日本が作製した社員向け安全教材が、関東の大手私鉄で活用されている。事故につながるエラーを防ぐための考え方「ヒューマンファクター」(人的要因)の観点が、鉄道現場の具体例で示されていると評価され、4社が社員教育に使えるとして注文した。印刷実費での販売に応じたJR西は「想定外の反響だが、広く利用してもらい、防げる事故を防いでほしい」と話している。

 JR西が昨年3月に作製した全100ページの冊子「事例でわかるヒューマンファクター」。鉄道現場における32項目のヒューマンファクターをそれぞれ見開き2ページでまとめ、イラストや図表を多用して解説している。

 例えば「眠気」の項目では、24時間周期で変化する体内リズムの影響で眠気は3〜4時と14〜15時に訪れるとし、この時間帯に合わせてコーヒーを飲んだり、室温を下げたりといった対策が必要と指摘。「記憶」の項目では、一度に覚えられる数字や文字は7個前後として、列車番号で運行を指示する運転指令員には、必ずメモを取るよう勧めている。

 ほかにも指さし確認をしない場合は、する場合に比べて間違う確率が約6倍になるとの研究事例を報告したり、基本動作については「過去に発生した事故の教訓を受けて現在の形がある」などと説明している。

 福知山線事故の原因は、運転士によるブレーキ操作の遅れとされているが、これまでのところはなぜ操作が遅れたか分かっていない。再発防止に取り組むJR西は平成18年6月、社内に「安全研究所」を設置。社員に加えて大阪大人間科学部などから研究員を招き、事故全般について心理的な背景などを調査・研究してきた。

 そうした活動の中で同研究所は「事例でわかる−」を作製し、全社員約3万人に配布。本来は非売品だが、参考用として鉄道各社に数部ずつ送ったところ東武鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、京浜急行電鉄の4社が「わかりやすい」「若手やベテランを問わず活用できる」として注文。JR西が販売に応じた。

 京浜急行は昨年5月に2500部を購入し、12月には1500部を追加発注。「事例に特化したヒューマンファクターの解説書は従来なく、自前での教材製作を検討したところだったので、ありがたかった」という。

 小田急は教材の内容をコンピューターに読み込んで研修でスライドとしてみており、「平易な文章で読みやすくまとめられ、若手やベテランを問わず活用できる」などとしている。

 専門家の評価も高く、日本ヒューマンファクター研究所の石橋明・研究開発室長は「アカデミックな学説を現場に応用したいい参考書。職場の意見と議論を踏まえており、同業他社も実務で十分使える」としている。

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