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【衝撃事件の核心】「信仰心高じて…」京都仏像窃盗事件 (2/2ページ)
阿部容疑者はコレクターや古物商の間では知られた存在ではなく、現在のところ売りさばくなどして処分した形跡はない。しかし、調べに対し「東寺や毘沙門堂では事前に下見をしていた」などと供述しているほか、「防犯センサーは大丈夫」「(仏像を包む)コートを用意」などと書かれたメモ帳が見つかっていることから、府警は計画的な犯行だったとみている。
建仁寺の事件については「たまたま入ったお寺で観音像を一目見てとりこになってしまった」と“偶然の犯行”を強調しているというが、事前に近くのホテルを予約していたり、約2時間半にわたって境内をうろつき、参拝者が途切れるすきを狙っていたとみられることなどから、周到に用意していた可能性が高い。
一方、昨年12月には浄土宗大本山の金戒光明寺(左京区)の御影堂に侵入していたところを発見され、警察官に事情を聴かれていたことも判明。この時は「会社をリストラされ、野宿しようと偶然入った寺で寝入ってしまった。申し訳ない」などとうそを言い、逮捕されることはなかったが、府警は同寺でも仏像を狙っていたとみている。
また、京都の寺院での仏像盗が大きく報道されたことを受けてか、阿部容疑者は、建仁寺での犯行で着ていた衣服や仏像を包んだコートなどを「自宅近くの河川敷に捨てた」と供述するなど、証拠隠滅の跡もうかがえる。仏像を狙って車で京都へ向かう途中、ニュースを思いだして怖くなり、引き返したこともあったという。
大切な信仰の対象が狙われたことに対し、寺院側では警戒を強めていたが、阿部容疑者の逮捕と被害品発見の一報が入り、関係者は「涙がでるほどうれしかった」「無事に戻ってほしいと祈っていた」などと安堵(あんど)の声を漏らした。建仁寺では盗難被害の後、檀家(だんか)などから代わりの仏像を寄進する話もあったが、「帰る場所がなくなったら、もう観音様が戻ってこなくなるような気がして」(同寺)、場所を空けて待っていたという。
盗難被害後に辞表を提出し、慰留されても机の中に置いたままにしていた臨済宗建仁寺派の真神仁宏宗務総長は「罪を憎んで人を憎まず。戻ってきたことを喜びたい」。東寺の砂原秀輝総務部長も「売りさばかれていなかったのが不幸中の幸い。犯人が自分で拝んでいるのではないかと思っていた」。毘沙門堂の大森行隼執事長は「仏像が無事に戻ってくればそれでいい。犯人の心が豊かな方向に向かうことを祈ります」と静かに語った。



