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【主張】受精卵取り違え 安全対策の徹底を求める

2009.2.21 04:02

 不妊治療中の女性に他人の受精卵を移植した可能性の高いショッキングな医療事故が発覚した。女性は身ごもったが、妊娠9週目で人工中絶を強いられた。妊娠にまで至ったケースは今回が初めてで、女性の負担は身体的にも精神的にもあまりに大きい。女性は損害賠償を求める訴えを起こしている。

 体外受精や人工授精などの生殖補助医療は生命の根源を扱う治療行為である。それだけに医療関係者には徹底した安全対策が求められる。今回の事故を教訓に再発防止に万全を期すべきだ。

 事故は昨年9月中旬、香川県立中央病院(高松市)で起きた。受精卵を移植する前の培養段階で、担当医が女性の受精卵を入れた容器と、事前に作業していた別の女性の受精卵が入った容器とを取り違えたらしい。

 複数の受精卵を調べる際には一度作業台を片づけて何もないことを確認してから新たな受精卵を扱えば、ミスは起きなかった。担当医は1人で作業していたというが、2人以上で作業して相互に確認し合えば、問題はなかった。

 容器のふたと底の両方に患者名を書いたテープを張っておく必要もある。専門の培養士を置いて受精卵の管理に専念させることも検討課題だ。

 国内初の体外受精児は昭和58年に生まれ、それ以降急激に増加し、いまや新生児の60人に1人の割合で誕生している。体外受精が盛んになるに従い、事故も目立つようになってきた。

 妊娠にまでは至らなかったが、受精卵取り違え事故は平成7年に石川県の診療所でも発生した。14年には愛知県で、夫以外の精子が女性に注入される人工授精のミスも起きている。

 福岡市のクリニックが実施したアンケートでは回答のあった施設の半数が「不妊治療では事故につながりかねないヒヤリとした経験をした」と回答している。

 日本産科婦人科学会は受精卵の管理を厳重に行うよう通知しているが、不妊治療施設の人員不足や経営事情などから、施設によって安全対策にばらつきがあるのが実情だ。技量や収入の確保を優先するあまり、安全対策が不十分になっては本末転倒だ。

 今後は専門家と厚生労働省が中心になって統一した安全基準とマニュアルを作り、不妊治療施設全体で共有することが重要だ。

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