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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(87)「万引はやらなきゃ損」という少年が変わる (1/2ページ)
このニュースのトピックス:少年犯罪
ひと言で万引といっても、普通の人は、万引のシーンや万引犯人を想像するだけで気分が悪くなる。つまり「規範意識」が内在化されているので、どんなにお金に困っても万引という手段に訴えない。
ある私鉄駅前の巨大スーパーの実例でも、毎日の万引被害件数は約10件で、1件あたり平均被害額は1000円だと聞いた。わが国の「治安」がこのように大変良好なのは嬉しいことである。
ところが、万引をして初めて捕まった子供に聞くと、「ものすごくたくさんある商品のうち、ほんのちょっと盗るだけだから、道端に落ちている500円玉を拾うのとたいして変わず、あまり悪くないと思っていた」という。
しかし、捕まった経験から、「みんなが万引をすればお店が成り立たなくなり買い物ができなくなる。すると社会が崩壊する」ことを学ぶようで、それっきりで一生万引と無縁になる子供がほとんどである。
だから、少年鑑別所に入れて、審判で保護観察にするといった手間を掛けた少年がまた万引をして家裁へ身柄付きで送られてくるというのは、そのこと自体稀有の例である。
その上、試験観察で調査官がきめ細かい指導をして、なおかつ当該少年が3度万引を敢行する確率は宝くじ並みである。
だから、裁判官の決断が、万引で家裁送りになることが2回目の少年を試験観察にすることはありうる。
もし失敗したら、今度は間違いなく少年院である。中学生なら初等少年院であるが、少年事件を担当し始めたころは「万引はやらなきゃ損」という考えがどうしても直らない少年に、少年院の先生が「どんな働きかけをするのか、どのように良くなって行くのか」というイメージが少しも湧いてこなかった。
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