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【撲滅 振り込め詐欺】(下)防犯活動 官民一体の総力戦 (1/2ページ)
振り込め詐欺で失われるのは現金にとどまらない。自責の念や失意から被害者が命を絶つ最悪のケースもある。
新潟県内では昨年4月、振り込め詐欺グループから金をだまし取られていた農業の男性(59)が自殺した。「融資保証金」の名目で振り込んだ回数は実に70回、被害金額は3600万円を超えていた。悩み続けた末に自殺を選んだ男性遺書には、家族を思う言葉が書き連ねてあった。警視庁と新潟県警が今年2月に逮捕した男は「遊ぶ金欲しさでやった」と悪びれもせずに話した。
大阪府内でも平成17年11月、多重債務者の50代の男性が自殺している。振り込め詐欺グループが「消費者金融のブラックリストからデータを削除する」と持ちかけ、手数料名目で多額の現金をむしり取っていた。「家族や回りに相談できる人がいなかったのか。犯人が本当に憎い」。ある捜査員は涙まじりに語った。
被害拡大に歯止めがかからない中、警察庁は6月、安藤隆春次長をトップとする「振り込め詐欺対策室」を設置。金融機関や携帯電話各社に捜査への協力を要請し、10月は撲滅月間と位置づけて被害発生の半減を目標に掲げている。
「毎日60人以上、額にして1億円近い被害が出ており、犯罪としては極めて深刻な状況にある」。安藤次長はこう指摘した上で、「(知能犯捜査に当たる)従来の刑事部捜査2課の手法にこだわらず、あらゆる部門が持ち味を発揮する必要がある」と警察内部の垣根を越えた捜査の重要性を強調する。
都道府県警の中でも、首都・東京の治安を預かる警視庁は「実行犯の大半が東京を舞台にはびこっており、責任は極めて重い」(植松信一副総監)と積極的な取り組みを展開している。
9月からは、過去に被害が発生している無人のATM(現金自動預払機)周辺などで、地域警察官に加えて警備部の機動隊約700人も派遣した警戒活動を開始している。
さらに刑事部の専従捜査班100人に加え、公安部の捜査員も動員。アパートのローラー作戦などで過激派のアジトを割り出す捜査手法を頼りに、振り込め詐欺グループの犯行拠点の特定に乗り出すなど、各部が縦割り意識を取り払って撲滅に向けて動き出している。

