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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(63)少年支える調査官の眼差し (1/2ページ)
このニュースのトピックス:少年犯罪
藤川洋子さんは、今は京都ノートルダム女子大心理学部教授であるが、最近まで30年間、家裁調査官を務めていた。
私は11年前に神戸へ転勤し、少年事件を担当することになったが、経験も少なく戸惑っていた。そして、現職調査官の藤川さんが書いた「わたしは家裁調査官」という本に出合って、良い衝撃を受けた。
家裁調査官の非行少年に対する熱い思いに驚嘆するとともに、非行少年やその親に対する興味と関心が芽生えた。
同時に、では裁判官の責任や役割は何かという問題意識を強烈に抱いた。
今日は、「『非行』は語る」という本の中で藤川さんが紹介されているケースについて述べる。
母子家庭で放任されて育ち、不良先輩に使い走りをさせられている16歳(中卒)の無職少年が交通死亡事故を起こした。深夜、原付きバイクの後ろに先輩の彼女を乗せて、コンビニへ向かう途中、赤信号を無視して交差点に突っ込み、乗用車と衝突し、後ろの女性を死亡させた。
このケースで、藤川調査官は裁判官に保護観察相当という意見を提出した。その理由は次のようなものであった。
少年には、「人を死なせた重みを受け止め、逃げず、自暴自棄にもならないで、生涯を掛け、少しずつでも遺族に償って行って欲しい」。しかし、現在の少年に、弁償を言い立てても、おそらく茫然(ぼうぜん)自失するばかりであろうし、精神の失調をきたす恐れもある。
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