ニュース: 事件 RSS feed
成りすましスパイ事件、捜査終結へ 警視庁 (1/2ページ)
アジア系ロシア人の男が実在する日本人に成りすます「背乗(はいの)り」で30年以上もスパイ活動をしていた事件で、警視庁公安部は13日午後、他人名義のパスポートを不正取得し出入国したとして、平成9年に旅券法違反容疑などで国際手配していた氏名不詳の男を書類送検する。
公安部の調べで、男が昨年6月、パスポートを更新せずに期限切れで失効していたことが判明。不正取得したパスポートで再入国する可能性がなくなったことなどから、書類送検する方針を固めた。背乗りから40年、手配から10年以上を経て、捜査は終結する見通しとなった。
調べでは、男は昭和40年ごろ、福島県内から失跡した店員、黒羽一郎さん=当時(34)=になりすまし、41年ごろから東京都港区内の貿易会社に勤務。公刊資料や知識人から日本の政治、経済、軍事情報などを収集していたという。ロシアのSVR(対外情報局、旧KGB)の諜報(ちょうほう)員とみられる。黒羽さんは突然、失跡しており拉致された可能性もある。
男は50年ごろ、黒羽さんの戸籍を使い日本人女性と結婚。平成7年2月、中国・北京に向けて出国し、9年2月に、この妻をモスクワ郊外の豪邸に招いたことが判明している。その後、妻は日本に帰国している。
直接の容疑は、4年6月29日、在オーストリア日本大使館で、黒羽さん名義でパスポートの更新手続きを行い、このパスポートを使って2回にわたり日本に出入国した疑い。男は9年6月にサンクトペテルブルクの総領事館でパスポートを再更新したが、昨年6月、更新手続きが取られないまま有効期限が切れた。再更新直後の9年7月に公安部は旅券法違反容疑などで逮捕状を取って国際手配したが、それ以降の足取りは分かっていない。
男はロシア語、日本語のほかスペイン語が堪能だった。海外出張を繰り返しており、日本人の立場を利用して西欧諸国などでも情報収集を行っていた可能性が高い。黒羽さんと同年代で、生存していれば現在70〜80代。在日ロシア大使館の一等書記官が男の諜報(ちょうほう)活動をバックアップしていたとみられている。