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【Re:社会部】「母を紡ぐ」息子の思い
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母と離ればなれになったのは、ちょうど30年前、1歳4カ月のころでした。だから母のぬくもりや声、においも覚えていません。
母は北朝鮮に拉致され、その後、大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元死刑囚への日本人化教育を強制された田口八重子さん。長男の飯塚耕一郎さん(31)は6月の集会で「当たり前の家族に戻り、30年の月日の一部を取り戻したい」と訴えました。
ところが、被害者家族らは今、逆風にさらされています。「再調査」と引き換えに政府は経済制裁の一部解除を表明、「核計画の申告」の見返りに米政府はテロ支援国家指定の解除を議会に通知…。
耕一郎さんは、八重子さんについての情報をたぐる作業を常々、「母を紡ぐ」と表現します。綿から繊維を引き出し、よりをかけて1本の糸にするのが「紡ぐ」。思いだしたくても、思いだせない母と自分を結びつけたい息子の気持ちが伝わってきます。
日朝交渉は間もなく動き始めます。「再調査」で北は、どれだけの情報を耕一郎さんに示すのでしょうか。これまでのように、捏造(ねつぞう)情報に基づく結果でしかなかったときに、政府はどんな対応を取るのでしょうか。
一人でも多くの人がそれを見届け、忘れないことが、耕一郎さんら家族の心の支えになるのです。 (将)