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【正論】秋葉原事件と高校教育の陥穽 京都大学名誉教授・加藤尚武 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:刑罰
「自尊心」を欠く犯罪
6月8日の通り魔殺人事件は7人の命を奪い、10人の負傷者を出すという悲惨な結果を生み出した。「誰でもいいから殺す」という無差別殺人の場合、動機の解明や犯行時の精神状態を明らかにして刑事事件としての立証をしても、そもそも刑事罰の有効性が成り立たないので、犯罪の一般予防という観点から見ると刑罰以外の対処をも視野に入れなくてはならない。
犯人(25歳)の生い立ちや性格についても十分な調査をする必要があるが、実際には、生い立ちを調べることは両親や兄弟のプライバシー保護と抵触するし、そのような調査をする権限をもつ公的な機関が存在しない。
非行をする少年や若い犯罪者について、規範やルールの認識が欠けているという判断を下す人が多いが、たいていの場合非行や犯罪には「悪いことだと分かっているからこそ、あえて行う」という挑戦的態度が見られる。
秋葉原の通り魔殺人の犯人に関しても、世間から激しい非難を浴びるような行為をわざと選んだように思われる。彼の動機に、親に対する復讐(ふくしゅう)という要素があったと指摘する人が多い。ほとんど自殺に限りなく近い形で、自分を破滅させるという行為には、何よりもまず「自分を大切に思う気持ち」(自己評価、自尊心)が欠けている。若い犯罪者に欠けているのは、たいていの場合、規範意識ではなくて、自尊心である。
共同選果場化した現場
日本の県立高校は、工業・農業・商業という実業高校は統廃合によって、普通制高校に変わっていく、男女別学が男女共学に変わっていくという過程を通じて、特色のはっきり分からない普通制高等学校が並立しているという状況になっている。

