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【疑惑の濁流】溶けた400億円 リーマン手玉に取った「ニセ丸紅」投資ビジネス (1/4ページ)
病院再生ビジネスを謳い700億円を集めた新興企業が破産し、400億円超の資金が償還不能となった。投資説明には「丸紅」の会議室が使われ、「部長」が出席し、丸紅が元本保証するかのような稟議書が示された。が、稟議書は偽造で、「部長」は偽者だった。生き馬の目を抜く印象がある米証券大手をも手玉に取り、何百億円と吸い上げた巨額詐欺疑惑。資金が病院再生に投じられた形跡は薄い。400億円はどこに消えたのか。(坂田満城、川畑仁志)
最悪被害受けた「リーマン」が訴えた相手は「丸紅」
東京都中央区にある「アスクレピオス」という企業が裁判所に破産を申し立てたのは3月19日のこと。
知名度が皆無に近いこの企業の破産が大きく報じられることはなかったが、水面下では関係者の利害が激しく錯綜していた。その濁流はまもなく表面化する。
「病院再生事業」を謳って巨額の投資を募っていたアスクレ社は700億円を超す資金を集めていたが、破産に伴い400億円超が投資家に償還不能となってしまったのだ。
さまざまな企業や個人がアスクレ社側に投資していたが、最も大きな被害を受けたのは米証券大手「リーマン・ブラザーズ」だった。リーマンの出資額は371億円。そのうち実に320億円余りが回収不能となり、焦げ付いてしまった。
リーマンが黙っているわけがない。351億円の支払いなどを求める訴訟を提起した。
ところが、訴訟の相手は資金を集めたアスクレ社ではなく、総合商社大手の丸紅。なぜ丸紅が「被告」になるのか−?
複雑な経緯を、順を追ってたどってみよう。
病院再生ビジネスで投資求めたアスクレ社
アスクレ社は平成16年9月に設立された。社長だったS氏(46)は投資事業組合を使った資金集めでアスクレ社の業績を上げ、昨年9月、株式交換で東証マザーズ上場の医薬品開発会社「LTTバイオファーマ」(東京都港区)の100%子会社になった。
S氏は株式交換に伴ってLTT社の大株主となり、取締役にも就いていた。
順調な成長をみせたアスクレ社が主な業務としていた「病院再生事業」は一般には耳慣れない業務だが、投資銀行筋からは「やり方次第で大きな利益が上がるビジネス」とみられている。
アスクレ社が描いたビジネスのスキーム(枠組み)はおおよそ以下のようなものだ。
《経営難に陥っている病院に資本を投下し、建物の改築や機器の入れ替え、薬品の仕入れ先の見直しなどで効率化・コストダウンを推し進め、経営を再生させる。そこで必要となる資金の調達には、再生する各病院の案件ごとに投資事業組合を組成し、その組合に対し投資銀行などが出資してくれるよう働きかける。病院再生が成功して経営が軌道に乗れば、利子を付けて出資元に償還する》
だが、投資銀行などカネを出す側からすると、アスクレ社も、アスクレ社が事実上支配している投資事業組合も、「聞いたこともない会社と組合」も同然。信用力は乏しかった。投資の受け皿としては物足りなさが残る。
そこで登場するのが丸紅なのだ。





