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【疑惑の濁流】議論封じ「遺棄化学兵器処理」突き進んだ歴代内閣の“奇妙” (1/3ページ)

2008.6.8 15:20
このニュースのトピックス疑惑の濁流
防護服を着て遺棄化学兵器の処理作業の準備をする日本の専門家 =2002(平成14)年9月、中国・孫呉(AP)防護服を着て遺棄化学兵器の処理作業の準備をする日本の専門家 =2002(平成14)年9月、中国・孫呉(AP)

 発注者である内閣府の当事者能力の欠如と、政府の非公開主義により、聖域とされ“利権化”してしまった中国大陸での遺棄化学兵器処理事業。それが独占受注業者「PCI」グループの不正を誘発したが、そもそも事業はスタート前から不可解な経緯をたどっていた。関係者の証言などで明らかになった中国政府への100億超もの支出。その詳細を、日本政府も業者も明かさない。調べるほどに奇妙なのは、遺棄された兵器を処理する責任が真に日本にあるのか、その法議論を封じ込んだまま1兆円事業に突き進んだ歴代内閣の姿勢である。(編集委員 宮本雅史)

 

「日本に処理責任」→土下座外交の“成果”?

 中国大陸に遺棄された化学兵器の処理が政治問題化した発端は、中国政府が平成2年に海部内閣時代の日本政府にその処理と解決を要請してきたことだった。

 その後、日中政府間で協議を重ねられ、平成5年1月に宮沢内閣が「化学兵器禁止条約」に調印。続いて7年9月に村山内閣が、9年4月に中国政府が、それぞれ条約を批准した。

 条約は「遺棄化学兵器」をこう定義づけた。

 「1925(大正14)年1月1日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該地の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器(老朽化した化学兵器を含む)」

 日本には「遺棄締約国」として、「他の締約国の領域内に遺棄したすべての化学兵器を廃棄する」「廃棄のため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設その他の資源を供給する」との義務が課せられた。

 だが、この段階で、日本に処理義務が生じるとした条約への異論があった。

 「敗戦で中国大陸の旧日本軍は武装解除し、すべての兵器、財産は旧ソ連と中国に没収・接収された。つまり、遺棄兵器の所有権は旧ソ連と中国に移転したと法的には解釈すべきだ。とすれば、日本が遺棄したとされる化学兵器は、条約が言うところの当該国(中国)の同意を得たものとなり、処理義務が生じるのは旧ソ連となる可能性が高い」

 「村山内閣は、遺棄化学兵器の『所有権』がどこにあるのか、日本政府に真にその責任があるのかなど、基本的な問題を精査することなく条約を批准した。最初から『日本に責任あり』の立場が取られていた」

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防護服を着て遺棄化学兵器の処理作業の準備をする日本の専門家 =2002(平成14)年9月、中国・孫呉(AP)
防毒マスクに防毒衣姿で有毒発煙筒の発掘作業をする日本の専門家=2001(平成13)年12月初旬、南京市(内閣府遺棄化学兵器処理担当室提供・共同)
南京市で発掘された旧日本軍の有毒発煙筒。腐食しているが、木箱にまとめて入れられているものもあった=2001(平成13)年12月初旬(内閣府遺棄化学兵器処理担当室提供・共同)
遺棄化学兵器の回収作業に臨む日本の専門官=2002(平成14)年9月、中国・孫呉(AP)
遺棄化学兵器処理機構に家宅捜索に入る東京地検の係官ら=昨年10月17日午前9時50分、東京都港区
PCIの本社が入っているビルの前には朝から多くの報道陣が詰めかけた=4月23日午前9時20分、東京都多摩市(緑川真実撮影)

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