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【疑惑の濁流】中国に消えた100億円 聖域化で腐った「遺棄化学兵器」 (1/4ページ)
683億円―。医療も年金も破綻状態と言っておかしくない財政難の日本が、中国での遺棄化学兵器処理事業にこれだけの税金を注ぎ込んでいる。旧日本軍が中国に遺棄した毒ガス弾を無毒化する国際事業だが、問題は、支出へのチェックが皆無に等しく、業者の言いなりに国が公金を垂れ流していたことだ。その延長線上で、独占受注者「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京)グループの不正事件は起きた。国の杜撰さだけではない。使途の明かされない公金が、少なくとも100億円超は中国政府の側に渡っていて…。(編集委員 宮本雅史)
デタラメ、水増し…やりたい放題の独占受注PCI
東京都多摩市の京王線・聖蹟桜ヶ丘駅近くのビル。そこに入居する「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)という聞き慣れない会社に、東京地検特捜部の家宅捜索が入ったのは昨年10月19日のことだ。
建設コンサルタント業者として大手のPCI。傘下には「遺棄化学兵器処理機構」(東京・虎ノ門)、「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM、東京・虎ノ門)などのグループ会社があるが、これらも一様に特捜部の捜索を受けていた。
容疑は商法違反(特別背任)。PCIのグループ会社である処理機構は平成16年度以降、遺棄化学兵器処理事業のコンサルタント業務などを内閣府から受注し、その一部をPCIなどに委託していた。PCIはこれを都内の設計会社4社に再委託していたが、間にグループ会社のPPMを介在させる架空取引を行い、1億2000万円をPPMに不正支出していた疑いが持たれていた。
容疑がかけられた時期のPPM社長は、PCI元会長でもあった。自分の会社にカネを落とすため、架空取引を行って中核企業のPCIに不正支出をさせたことになる。
もとはと言えば、国民の血税からの出費である「公共事業=遺棄化学兵器処理」のカネを、PCIグループはデタラメな手口で付け替えていたのだ。
捜索から半年。今年4月になって特捜部はこの容疑でPPM元社長らを逮捕。その後5月には別の容疑が浮上する。
PCI元社長らは平成16年に処理機構を通じて内閣府に事業費を請求する際、人件費を水増しして約1億4100万円をだまし取ったというのだ。国をだました詐欺容疑で、特捜部はPCI元社長らを逮捕・起訴した。
平成17、18年度分の人件費も水増し請求していたとみられ、PCI元社長らは追起訴される見通しだ。
特別背任、詐欺容疑ともに、事件の舞台は内閣府が発注した遺棄化学兵器処理事業だ。PCIグループの不正手口はいずれも単純なもので、受注業者が“やりたい放題”をしていた様子が浮かび上がる。
そのような“やりたい放題”がなぜ可能だったのだろうか。その理由は、発注元の内閣府の“無責任”によって育まれていたのだ。






