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【衝撃事件の核心】判事をストーカーに変貌させた“執着心” カギは「異動直前」 (4/4ページ)
この事件はストーカー規制法制定の契機になった。自身が審理に関与した事件を通じて制定された法律で、下山容疑者は逮捕された。皮肉だ。
甲府地・家裁都留支部に移ってからは、17年3月、小学5年の児童にわいせつな言葉をかけたとして県迷惑防止条例違反の罪に問われた被告に、「犯行は悪質で再犯が危惧(きぐ)される」として、保護観察付き有罪判決を言い渡した。
翌18年8月には、スナックで女性を「デブ」などと侮辱したとして侮辱罪に問われた男に女性が慰謝料を求めた民事訴訟で、女性の主張を認め、130万円の支払いを命じるなど、女性の立場に理解を示した判決を出している。
一方、同年11月には、レストランで以前交際していた女性を恐喝しようとしたとして恐喝未遂罪に問われた被告に、「威迫行為の事実は認められるが、現金を要求したかどうかは認められない」として無罪を言い渡すなど、法の適用に厳格な姿勢を示していた。
■「容疑」は山梨から宇都宮への異動直前…理性がキレた?
下山容疑者が所長を務めていた都留支部は、山梨県都留市の中心部にある。最寄り駅は富士急行線「谷村町」駅。下山容疑者は都内の自宅から週数回、この支部に通っていたらしい。
近くのタクシー会社乗務員が下山容疑者の姿を覚えていた。
「裁判所からJR中央線大月駅まで乗せたことがある。いつも1人だった。女性連れだったり、車内でメールを打っていた姿は見たことがない」
下山容疑者が審理する事件を担当した県内の男性弁護士は、こんなエピソードを明かして同容疑者の印象を振り返った。
「真面目そうな人に見えた。裁判所にはよく野良猫が来るのだが、猫たちに餌をやっていて、動物好きな人なんだなと思った」
一方、都内の自宅マンションでは、下山容疑者はほとんど近所付き合いをしていなかったようだ。ある出入り業者は「奥さんと2人で住んでいたが、共働きで昼間は誰もいなかった」と言う。
「国勢調査の依頼に何度も行ったが、いつも不在だった。町会にも入っておらず、生活感が感じられなかった」。そう証言するのは近所の主婦だ。
下山容疑者は今年4月1日に宇都宮地、家裁足利支部長、同23日付で同地裁判事となった。容疑事実と認定されたストーカー行為は、この異動の直前の時期に当たる。
裁判所の人事など内情に明るい関係者はこう推測した。
「2月ごろには本人は異動対象であることが分かっていたはずだ。転勤を前に、部下の女性への一方的な思いを制御できなくなったのだろうか」
55歳東大卒の裁判官が20代の部下に抱いた“執着心”。
「異動直前」というのは、理性が効かなくなった1つのキーワードなのだろうか。
社会のエリートである裁判官を暴走させた“執着心”の正体はまだ分からない。
告訴によるストーカー規制法違反罪で有罪となった場合、罰則は6月以下の懲役または50万円以下の罰金である。




