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【寄稿】板橋功・公共政策調査会第一研究室長「テロ防止、国民の意識と協力不可欠」 (2/5ページ)

2008.5.11 22:24
このニュースのトピックス紛争・クーデター・革命
板橋功・公共政策調査会第一研究室長板橋功・公共政策調査会第一研究室長

 ■日本とイスラム過激派によるテロ

 ただし、日本や在外日本権益が、これまでイスラム過激派によるテロと無縁であったわけではない。海外においては、しばしばイスラム過激派による被害に遭ってきており、また国際テロ組織アルカーイダの指導者であるウサマ・ビンラーディン容疑者などによる日本を名指しした声明が出されたり、日本人が多数搭乗していたフィリピン航空機内で爆破テロ事件が発生し、日本発の航空機を含む航空機爆破計画が明らかとなったり、アルカーイダ幹部による日本でのテロ計画に関する供述やアルカーイダ関係者の日本潜伏など、日本にかかわる事案が数多くあることを忘れてはならない(表1参照)。

 ■すでに始まっているサミット関連会合

 ところで、すでにサミットに関連する閣僚級会議が始まっていることは、意外と国民に知られていない。3月14〜16日には千葉市で「気候変動・クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話」が開催されており、4月5〜6日には「開発大臣会合」が東京で開催されている。現在、新潟で「労働大臣会合」が開催されているところであるが、これからサミットに向け、神戸、大阪、京都などでも関連の閣僚会議が開催される予定(表2参照)であり、長期間にわたって全国各地で閣僚級会議が開催されることも今回のサミットの特徴だ。それだけに長期間かつ複数の地域での警戒・警備が求められ、警備当局は長期間の緊張状態を強いられることになる。また、これらの閣僚級会議が開催されるたびに、日本発の情報発信が行われることになり、7月7日からの首脳会議に向けて、日本のプレゼンスは高まり、テロの脅威も高まるものと思われる。

 ■テロリストとの主戦場、「東京」を守れ

 今回のサミットに関連して、テロが発生する可能性が高いのは、開催地である北海道よりもむしろ東京などの大都市である。平成17年7月の英国・グレンイーグルズサミットの際にも、首都のロンドンで同時多発テロ事件が発生している。東京などの大都市には、重要インフラや大規模な公共交通網、集客施設などテロリストのターゲットになりやすい施設が多数存在している。これらの施設は、その機能が停止すると社会、経済に大きな影響を与えたり、また大きな被害が出る可能性が高いことから、事件のインパクトも大きく、テロリストにとって格好の標的である。とりわけ、地下鉄や新幹線などの公共交通機関、複合商業施設となっている大きなターミナル駅や大規模な集客施設は、不特定多数が利用し、またその利便性ゆえに極めて守り難い一方で、テロリストにとっては攻撃しやすいという特徴を有している。これらすべてを警察が守ることは不可能であり、事業者や利用者一人一人が意識を持って、警戒する必要がある。

 しかしながら、今回のサミットに際して東京などの大都市でテロの脅威が高いことは、関係者以外ほとんど認識されていないのが現状である。重要インフラ事業者の従業員でさえ、「サミットは北海道洞爺湖で開催されるのに、なぜ東京などで警戒を強化しなければならないのか」との素朴な疑問を持っていると聞いた。警察をはじめ、関係者の間では当たり前のように認識し、当然のように準備を行っているが、考えてみれば、これがごく一般的な国民の認識であろう。一般の国民の認識が薄いということは、これからの対策を行っていく上でも理解や協力を得にくいということであり、今後は、この点に留意して対策を進める必要があり、政府広報をはじめ、自治体や警察などにおいても積極的な広報活動を行う必要がある。

 すでに関係の閣僚級会議が始まっていることから、なるべく早い時期に、首相や都知事などが国民や都民に向けて、サミット警備への協力についての明確なメッセージを発出する必要があると考える。

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板橋功・公共政策調査会第一研究室長

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