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【独白】(下)証拠 「封印」された拳銃 (1/2ページ)
平成7年3月の国松孝次元警察庁長官銃撃事件では、米コルト社製の38口径回転式拳銃「パイソン」と、殺傷力の高い米フェデラル社製ホローポイント型「ナイクラッド」弾が使われていた。この拳銃と銃弾はいずれも入手が困難とされ、長官銃撃事件以前に国内で使用された例は確認されていない。
だが、事件への関与を示唆する中村泰(ひろし)被告(77)=別の強盗殺人未遂事件で無期懲役、上告中=は、同型の拳銃と銃弾の入手ルートについても詳細に語っている。
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《1980年代末頃にウェザビーという会社の現在は廃止されている支店で、「テルオ・コバヤシ」の偽名で8インチ銃身のコルト「パイソン」を購入した》。銃弾も同じ店で購入したとみられる。
長官銃撃事件ではそれまで、拳銃に関する捜査はまったく進展していない。オウム真理教に対する捜査でも、パイソンに関する情報は得られていない。警視庁は昨秋、捜査員を米国に派遣した。その結果、「同型の拳銃を『テルオ・コバヤシ』が米国で購入していたことは裏付けられた」(警視庁幹部)という。
被告は十数丁の拳銃や機関銃を所持していたが、そのほとんどを海外で分解して設計図とともに密輸、国内で組み立てていた。それらはすでに押収されているが、パイソンだけが見つかっていない。
犯行に使われた拳銃が見つかれば捜査は一気に進展する。だが中村被告の独白は、これを打ち砕いた。
《パイソンは完全に回収不能。大島航路の海中に捨てた。特別義勇隊は弱小なりとはいえども、謀略工作専門の組織ですから、銃が事件の要であり、それが消滅すれば一切が封印されるということは十分に認識していたのです》
警視庁がこれまでに行った被告の関連先に対する家宅捜索では、アジトから大島航路のフェリーの半券が押収されている。乗船日は平成7年4月17日。6日前の11日午後4時45分、拳銃を保管した貸金庫が開けられていた。
警視庁は、被告が東京港から大島へ向かう途中、貸金庫から取り出した銃を海へ遺棄した可能性があるとみるが、その事実を証明できる可能性はゼロに等しい。